《0001》 開業15年、気分は駆けだし研修医 [未分類]

今日からこのコーナーで町医者日記を書かせていただきます、
ドクター和こと長尾和宏です。よろしくお願い申し上げます。
簡単に自己紹介させて頂きます。

私は香川県生まれの兵庫県育ちの尼崎の開業医です。
大学時代は東京で過ごしました。
卒業後は大阪に戻り、勤務医を11年、開業医を15年しています。
専門は消化器内科です。

阪神大震災の時は野戦病院となった市立芦屋病院に
勤務していていました。
不眠不休で負傷者に対応しましたが、思うところあり独立を決意。
その年の7月に武庫川を隔てた尼崎市の商店街のド真ん中で開業しました。

当初は、来る日も来る日も閑古鳥が鳴く本当に寂しい日々でした。
いつ廃業しようかと考えながら過ごしていたある日、肝硬変で毎日、
注射に来られていた方から往診を頼まれました。
毎朝、診察前に往診して点滴しているうちに自然な形で最期を迎えられました。
病院では一度も味わったことのない不思議な経験でした。
これが在宅医療を始めたきっかけです。

3年目ぐらいからボチボチと患者さんが来られるようになりました。
雑居ビルの狭い2階が手狭となった7年目。倒産した銀行の建物を
思い切って借りて移転しました。
忙しくなり医局の後輩を呼び寄せて複数医師制とし、
訪問看護ステーションやケアマネ事業所も併設しました。

現在、365日年中無休の診療所として外来診療と在宅診療に
明け暮れる日々です。
7名の医師とともに平日は4診体制、日曜休日も3診体制で外来診療をしています。
在宅医療は、約20名の訪問看護師さん、8名のケアマネージャーさんたちを含む約40名からなる在宅チームとして取り組んでいます。約230名の外来患者さんと、約200名の在宅患者さんに向き合う日々です。

当院の特徴は、管理栄養士さん4名、理学療法師さん5名をはじめ放射線技師、臨床検査技師さんなどコメデイカル職員とともに、「予防から在宅看取りまで」、「地域のかかりつけ医」をモットーとした総合診療を目指しています。 

ユニークな診療所だとよく言われます。
15年前は、看護師さんもおらず事務のアルバイトさん1名のみでした。
徐々に成長して今日に至りました。いくらスタッフが増えようが、
移転して体(建物)が少々大きくなろうが、医療の本質とは何の関係もありません。
町医者の役割とは、患者さんと身近に接して、病気だけでなく人間を診ることだと思います。 
まだまだ気分は駆けだしの研修医です。

患者さんと共に笑い、共に泣く毎日です。
この4月3日、今年も在宅患者さんたちと近くの公園でお花見をしました。
職員たちの演奏に合わせて全員で歌を歌いました。
私も「上を向いて歩こう」を歌いました。最高のお花見でした。 

こんな町医者の本音を、これから毎日お届けします。
どうぞよろしくお付き合いください。

2年前からブログを書いていますので、そちらもご覧ください。