《1002》 抗がん剤と年齢 [未分類]

90歳を超えて見つかるがんが増えています。
長生きするということは、がんが見つかる可能性が高まること。
がんの発生に加齢は最も大きな因子です。

そんな方に、抗がん剤をしてくれ、という希望があります。
抗がん剤=がんを治す特効薬、と理解されているのです。
しかし、決してそうではないことは既にお話ししました。

「肺がんにある分子標的薬が有効」との新聞記事を持ってきます。
たしかにその新聞には、がんが治るかのように書いてありました。
海外での、その抗がん剤の治療成績も紹介されていました。

大規模な抗がん剤の臨床試験は、たいてい60歳以下の患者さん、
それもしっかり歩けて食べられる患者さんを対象になされています。
若くて元気ながん患者さんの統計なのです。

日野原先生のような例外はおられるとしても、やはり
平均寿命を超えた方への抗がん剤は、私から勧めることはありません。
副作用のほうが大きくなるからです。

抗がん剤は延命治療である、と書きましたが、
延命どころか、命を縮めてしまうのです。
抗がん剤で安楽死、となってしまう可能性が高いのです。

抗がん剤治療に明確な年齢制限があるわけではありませんが、
やはり年齢という因子は、無視できません。
各腫データは、若い人のデータであることも知っておいて下さい。

もし治療を希望されるならば、抗がん剤以外の治療法でしょう。
90歳以上で、胃がんの手術を受けられた方が、2人おられました。
臓器によっては放射線治療がお勧めですが専門医が少ないのがネックです。

PS)
月曜日に訪問診療や院内の会議が集中しています。
しかし月曜日が祝日の場合、勘が狂います。

ということで、今日は通常の月曜日と同じように
仕事をしています。

外来診療は、年中無休です。
今日の私は、「外回り」です。