「医療の不確実性」という言葉をご存知でしょうか。
医療では、予測できない経過があり得るのです。
そんな馬鹿な!ふざけるな!という人がいるでしょう。
安全管理やリスクマネジメントという言葉があります。
それらを一生懸命やっても、生身の人間を相手にしている
医療は、やってみなきゃ分からない部分が多くあるのです。
昔、早期胃がんを発見して、大きな病院に紹介しました。
外科手術は成功しました。
しかし、術後5日目にMRSA腸炎で亡くなりました。
若くて元気な人でした。
しかし最悪の結果になりました。
こうした経過は、不可抗力と考えられました。
そんな馬鹿な!とお怒りの貴方へ。
成功率99%ということは1%はそういうこともある。
それが嫌なら手術を受けないという選択肢もあります。
医療とは、そもそもそんなものなのです。
誰も悪くないし、医者も失敗していない。
しかし結果が悪いことがある。
それが医療の不確実性です。
ゴルフのテイショットとどこか似ています。
快心のナイスショットがカート道に大きく跳ねてOBへ。
予測不能な部分があるのです。
勘三郎さんの一報を聞いた時、私の頭には
この「医療の不確実性」という言葉が浮かびました。
おそらく多くの医師も同じような感覚を覚えたのではないか。
よく「先生、絶対に大丈夫ですか?」と聞く人がいます。
「大丈夫ですよ!」と言ってあげたいところですが、
どうしても言えないのです。
以前、アピタルでも「医療の不確実性」について書きました。
「50歳のレーシック手術」というシリーズでしたね。
私は50歳でレーシック手術を受けて、失敗しました。
その失敗も、医療の不確実性からいえば、想定内なのです。
もっとはっきり言えば、仕方が無いとしか言えないのです。
それが嫌なら医療を受けなければいい、ただそれだけです。
抗がん剤も手術も成功した。
しかし結果は、最悪だった。
そんなことも含めての「医療」である、と私は思います。
PS)
インフルエンザが、毎日、数人ずつ出ています。
例年より少ないものの、急に増えています。
A型がほとんどですが、B型もおられます。
ということは、AとBの両方かかる人もおられます。
手洗いとマスクで感染防御してください。
規則正しい生活と充分な睡眠が大切です。
偉そうに書いて、自分自身は不規則な生活ですが。
また自然免疫頼みで、予防接種もしていませんが。
こんな医者はどうか見習わないでくださいね。