《1010》 放射線治療という選択肢 [未分類]

「勘三郎さんは放射線療法だけの方が良かった」
というようなことを、近藤誠氏は書かれています。
タラレバは嫌いですが、実は私もそう思っています。

勘三郎さんのようなケースは、若ければやはり
同じような選択になる施設が多いと想像します。
しかし放射線治療という選択肢も忘れてはいけない。

日本人は手術が好きで放射線にはあまり関心がありません。
手術場には、ブラックジャックがいて、ドラマがあります。
一方、放射線治療は機械がやってくれるので絵になりにくい。

人間(放射線治療医)は、機械の設定をしてボタンを押すだけ。
そんなイメージからか、放射線治療はいつまでたっても控えめ。
しかし町医者の目から見ると、放射線治療はオススメです。

放射線治療で死ぬことは、まずありません。
一方、「手術は成功しましたが、死にました」がある。
放射線治療だけであれば、安全で苦痛の少ない治療法です。

AERAの勘三郎さんの経過を見ていたら、切なくなりました。
何故だろうか? と自問してみたら、放射線治療が無かったから
かもしれません。

抗がん剤と手術の前に、放射線治療という選択肢は
たしかにあったと思います。
これなら治療しても普通に食べることができます。

タラレバは好みませんが、放射線治療は知っておきたい選択肢です。
これから食道がんの治療に入るという患者さんも大勢いるわけです。
町医者がこうして書くことで少しでも役に立てればと願っています。

PS)

昨日も、いろんな往診を頼まれました。
某老人ホームでインフルエンザが3人も出ました。
みんな予防接種をしていましたが、罹りました。

微熱程度で、そこそこ元気そうでしたが、
イザ調べてみれば、案の定、インフルでした。
もう少しで見逃すところでした。

3人ともラピアクタという点滴を使いました。
15分の点滴1本で、治療が完結します。
特に副作用はないので、老人にはお勧めです。