《1011》 医療を否定する本が売れるけど [未分類]

医療否定の本が売れています。
手術も抗がん剤も一網打尽に全否定すれば、書籍は売れます。
しかし本を買った人は、本当に医療と関わらないのでしょうか?

筋金入りの人は、自分自身は本当に関わらないかもしれません。
しかし多くの人は共感を覚えるが、全否定には至らないのでは。
あくまで貴重なアンチテーゼとして読んでいるのだと思います。

勘三郎さんの食道がんの治療の結果が思わしくなかったから、
手術と抗がん剤を全否定する、という考えには同意できません。
私は、勘三郎さんが教えてくれたことを感じて伝えたい。

同じ食道がんでも、桑田佳祐さんや、やしきたかじんさんの
経過は良いようです。
医療の全否定では、到底、そのような経過はあり得ないはず。

私は、科学の進歩はあると思います。
もちろん医療の進歩もあります。
降圧剤で脳出血が減りました。

医療という科学技術の使い方の問題だと思います。
人間を見ずにナイフを振り回せば大怪我をします。
その人に合った医療を、適応すべきだと思います。

ひとくちに抗がん剤と言ってもまさに玉石混合ではないか。
長い目で見ると、消えゆく抗がん剤と残る抗がん剤がある。
残っているものにはそれなりの役割があるのだと思います。

要は「抗がん剤」という武器をどう使うかです。

先日、大病院から逃げ帰った末期がんの人がいました。
寝たきりで食事が取れず腹水が大量に貯まっています。
紹介状には「また抗がん剤をしたい」と書かれていた。

寝たきりで腹水パンパンの人に、まだ抗がん剤を打とうと
している研修医に、現在の医学教育の失敗を感じました。
がんだけ見て、人間を診ないがん拠点病院のがん医療・・・

抗がん剤の使い方の問題であり、その是非ではありません。
ただ膨大な知見の上に成り立っている現代医療を
全否定することは、私はしていません。

いつの時代もアンチテーゼは必要です。
政治にも、与党と野党があるように、
切磋琢磨の先に、進歩があります。

私の平穏死の本も、否定本と見られているのかもしれません。
しかし決して現代医療を全否定しているわけではありません。
あくまで、現代医療の「いいとこ取り」を提唱したいのです。

【PS】
今年に入り、既に10人もの旅立ちがありました。
昨年を上回る凄いペースでの在宅看取りです。
2日に1人の割合。

多死社会という言葉を実感します。
葬儀場も焼き場もみんな混雑しています。
亡くなっても何日か自宅に置いている場合も。

実は、お酒を飲む暇がありません。
今日は大丈夫かな?と思うと、もう、飲めません。
メタボの身なので、それでいいのですが。