2人に1人ががんになる。
2人に1人が認知症になる。
前者は事実で、後者はまだ一部の識者の推計です。
しかし近い将来、そうなるのでしょう。
すると、認知症にがんができることは珍しくない!
以前、認知症の権威との教授にこう質問しました。
「認知症にがんが合併した人の抗がん剤はどうしますか?」
その権威の答えは、こうでした。
「私はそのような例は見たことがないので、極めて稀だろう」
医療が如何に臓器別縦割りなのか、むしろ市民のほうが
この権威の先生の滑稽さに気がついていることでしょう。
認知症にがんを合併している人はいくらでもいます。
実は、私は、そのような人が大好きです。
何故か。
1 認知症があると、抗がん剤治療ができないから
2 認知症があると、がんの痛みは強くないから
(1)は、外来抗がん剤治療では何時間も座っています。
認知症の人はそれができません。
まして入院しての抗がん剤治療もできません。
抗がん剤をするかしないか、
続けるか中止するか、
効いているか効いていないか、から解放されます。
(2)は、経験上、真実だと思います。
本当は痛みを感じているが、上手く伝えられない、
という面も当然、あろうかとは思います。
しかし、食欲には敏感でも、
痛みには鈍感になることが多いと感じます。
最期まで麻薬が要らない人もたくさんいます。
抗がん剤治療という選択肢が無い上に、痛みは少ない。
認知症に合併したがんは、町医者的には最高なのです。
しかし病院からの紹介状に「大変な患者さんですが」と書いています。
【PS】
連日連夜の旅立ちが、続いています。
いったいどうなっているのでしょう。
多死社会という言葉を実感する毎日です。
今夜は松山市で漢方の講演をしています。
抗がん剤や在宅医療についても話します。
道後温泉に入って朝一で帰阪の予定です。