《1013》  抗がん剤でやられた体力を回復させる漢方薬 [未分類]

先週の木曜日は千葉の幕張で、今週の木曜日は
四国の松山市で、漢方薬の講演をしていました。
死ぬ話以外に、学術講演もしているのは自分でも意外です。

漢方薬は2000年もの歴史があります。
幾多の時代を乗り越えて残ってきたもの。
一方、西洋医学は江戸後期に伝来したもの。

鎖国の時代でしたから、ドイツ語からオランダ語に
翻訳されて西洋医学は長崎から国内に広まりました。
「蘭方」に対して「漢方」という言葉が生まれました。

明治時代、日本の伝統医学であった漢方は
文明開化の波に押されて、冷遇されました。
一時は、漢方医は医師と認められない時代もあったほどです。

しかし終戦後、昭和25年に日本東洋医学会が設立され、
昭和42年からは、4つのエキス剤が保険適応となりました。
そして今日、西洋医学と東洋医学の併用が認められています。

さて、抗がん剤はすべて西洋医学のものです。
がん細胞に直接働き掛けるもの。
一方、漢方薬は、がん細胞とその周辺に働きます。

補中益気湯や十全大補湯という漢方薬は、
がん患者さんの免疫能を上げて、元気にします。
リンパ球であるNK細胞活性を上げたり、HSPを上げる。

抗がん剤でやられた体力を回復させる力があります。
抗がん剤が延命治療なら、漢方という延命治療も
あるのです。

抗がん剤や分子標的薬の有名な副作用に手足のしびれが
あります。末梢神経障害と呼ばれています。
それには牛車腎気丸という漢方薬が有効です。

漢方薬は、抗がん剤治療中の患者さんにも、また
抗がん剤治療ができない患者さんにも役に立ちます。
そして、在宅医療とも相性がとてもいいのです。

そんな話をしました。
抗がん剤を中止して、漢方1本に切り替えた患者さんの
話もしました。

漢方薬だけで、とても上手くいっているのです。
抗がん剤をいいタイミングで止めたことと、
漢方薬の効果の両方であると思います。

抗がん剤を止めることは決して敗北ではありません。
漢方薬による免疫療法、という選択肢もあるのです。
漢方薬って免疫療法!?

そう、免疫療法なのです。
明日は免疫療法についてもう少し詳しくお話します。

【PS】
松山でいろんな人に会いました。
3月30、31日の日本在宅医学会の大会長をされる
永井先生のたんぽぽクリニックを見学しました。

日本一の在宅クリニックと、大勢のスタッフの素晴らしさに感心。
松山での在宅医学会の成功を祈願しました。
このイベントは市民も参加OKです。

もちろん私も演者や司会者として登場いたします。
松山市の有名な宅老所である「あんき」の中矢さんとも会いました。
在宅療養を、医療側と介護側の両方から見た松山滞在でした。

松山のホテルでこれを書いています。
今朝の松山は、雪が舞っています。