私は在宅医でもあるので、いろんな末期がんの
患者さんのお宅に訪問するのが日常です。
家に入るとその方の生活がそのまま見えてしまいます。
本棚や机の上には、近藤誠先生の「抗がん剤は効かない」などの、
抗がん剤や医療を全否定した本が並んでいます。
しかし、当人はバリバリ、抗がん剤治療を受けています。
つまり、読んでいる本とやっていることは正反対なのです。
迷いがあるから本を読むのか?
本を読んでその気になったが、専門家に説得されたのか?
理由は分かりませんが、抗がん剤治療を受けている在宅患者さんの
お家には、なぜか、「否定本」が置かれているのです。
本の販売部数=抗がん剤拒否者数ではないということです。
否定本を読みながら、専門医の意見に従うのが患者さんです。
いざその時になったら、専門家の意見に逆らうのは大変です。
体が弱ってくると、つい誘惑に負けてしまうのかもしれません。
人間の気持ちは常に揺れ動くものです。
固い決意を貫き通すことは並大抵ではありません。
それなりの人でないと初志貫徹できず、揺れまくりです。
抗がん剤を疑いながらも、どこかで信じている・・・
逆に、信じながらも、どこかで疑っている・・・
人間は、常に迷い続ける動物なのです。
私は迷い続ける人が好きです。
抗がん剤は、いい悪いではなく、止めどきが問題でしょう。
ならばその止め時を真剣に考えることが大切だと思います。
【PS】
どうやらインフルも峠を超えそうな感じです。
2月も今日から後半。
ちょっと早いですが、春が待ち通しいです。
頂いた義理チョコを食べながら、これを書いています。
今週は、なぜか咳喘息の患者さんが多かった。
チョコレートのせいだと、私は思っています。
今日は漢方薬の講演をしています。
往診車の中には、漢方薬を何種類かカバンの中に持ちながら
在宅医療をしています。