《1038》 専門医も抗がん剤の実態を知らない [未分類]

一昨日の日本死の臨床研究会・近畿支部大会において
「平穏死と看取りの場所」と題した講演をしました。
その中で抗がん剤治療の実態についても述べました。

死ぬ直前まで抗がん剤をしているケースを何例か話しました。
死ぬ前日まで、外来抗がん剤治療に行っていたケースなど。
車椅子やストレッチャーでギリギリまで通院されていました。

亡くなる日まで抗がん剤を打っていた人や、
亡くなる瞬間まで抗がん剤を打っていた人や、
亡くなった後も抗がん剤がポタポタ落ちていたケースも……

講演後、抗がん剤の専門医や緩和医療の
専門医から質問やメールをいただきました。
「そんなわけないやろ!」と。

そう言われても、困ります。
私は自分の目で見た事実をお話ししただけです。
どうして専門家が、そんなことを言うのかを考えてみました。

抗がん剤専門医が抗がん剤治療をしているとは限らない。
主治医によって、抗がん剤の「止めどき」に差がある。
緩和医療の専門医には、抗がん剤の実態が見えにくい。

診療科によっても差があるような気がします。
内科と外科と婦人科では、温度差があるように感じます。
病院の先生には、抗がん剤治療の全貌が見えにくのかも。

抗がん剤の専門医が抗がん剤治療をするとは限りません。
一般の医師や開業医が行っている場合もあります。
緩和医療の専門医は、通常、抗がん剤は使いません。

一方、在宅医は、最期まで診ることがほとんどなので、
最期の最期まで抗がん剤をやっているケースを見ます。
「そんなことは無い」と言う医師がいること自体、新鮮でした。

【PS】
先週から、医学生と一緒に在宅医療の現場を回っています。
研修医ではありません。
お医者さんの卵や看護師さんの卵にも、教えています。

生活をも診る医療に触れるのは、
早ければ早いほどいいと思います。
私は、大学1年生の時からサークル活動でやっていました。

鉄は熱いうちに打て。
学生のほうが吸収が早いかもしれません。
大変ですが、遣り甲斐のある仕事です。