《1044》 「平穏死という親孝行」が本日発売 [未分類]

「緩和ケア」という言葉を口にすると怒りだす息子さん。
「ホスピス」という名前を言っただけで許してくれない娘さん。
「私たちは最期の最期まで闘いたいのです」とのこと。

「闘う気満々なのに、何故、長尾先生は
 緩和ケアなんて、酷い事を言うのか」
こんな風に、よく怒られます。

「抗がん剤=生きる、闘う」
「緩和ケア=死ぬ、諦める」
と勝手に思い込んでいるようです。

本当は逆、なのですが・・・

「わたしたち」とは、親と子供の総称。
しかし本当は、「親は親で、子は子」。
そもそも親は「もういいです」って言っているのですが・・・

自己決定権が確立した欧米では、「わたしたち」は無いはず。
儒教圏ならではの、親孝行の発想から出る言葉なんでしょう。
「自分の親だけには、死ぬ前に最高の医療を受けさせたい」と。

テレビドラマの見過ぎなんでしょうか。
救急救命医は、カリスマとして描かれています。
在宅医は、さしずめ看取り屋さんとの認識でしょうか。

「平穏死・10の条件」を呼んで在宅医療を
依頼して来た近所の末期がんの人がいました。
さっそく伺うと、子供が出てきてこう言われました。

「うちの親は、死の本を書くような医者に
 診てもらうほど、悪くはありません!」と。
かなりお悪いのですが・・・

「子供の手前、イヤイヤ抗がん剤治療に通っているんだ」
そう告白した末期がんの患者さんもおられました。
ちょっと気の毒に思いました。

親と子供の気持ちに、かなり隔たりがある場合があります。
本当は家に居たいのに、老人ホームに入れられるという人。
抗がん剤を止めたくても、止めさせてもらえないという人。

家族って何だろう?

子供って何だろう?

本人は満足、感謝していても、
文句を言ったり、訴えるのは、家族や子供。

そんな気持ちを記した本が今日、出ます。

「平穏死」という親孝行
― 親を幸せに看取るために子供がすべき27のこと 
子供さんに読んで頂き、感想をお寄せください。

平穏死・三部作、です。
よろしくお願いします。

【PS】
昨日は、徳島、京都、大阪、神戸と
1日中、移動と講演、お喋りでした。
その間に、看取りと緊急往診もしました。

徳島は在宅医療に熱心でした。
京都も医師会が熱心でした。
大阪では大学教授たちと意見交換しました。

それにしても寒いですね。
京都も大阪も神戸も、雪が舞っていました。
新潟の知人から電話があり、日本海側は大雪なのですね。