《1056》 映画「愛、アムール」にみる親子関係 [未分類]

フランスのパリの高級住宅地も尼崎の下町も全く同じだと、
この映画を見ていて、思いました。
高齢社会や在宅医療の現実は、どこも良く似ている。

脳梗塞で在宅療養していた奥さんは、徐々に食べられなくなります。
嚥下機能が低下して、いわゆる「老い」が重なっているのでしょう。
それでも夫は、かいがいしく食事介助を続けていました。

しかし全身状態は悪化の一途。
そこに長女さんが突然、入ってきました。
そこで娘さんが放った言葉が印象的でした。

「もっと点滴をしなきゃ」
「病院に入院しなきゃ」
親が食べられなくなった時に、子供が言う事は日本と同じです。

しかし娘さんの言葉が、一生懸命に食事介助や介護を続ける
老いた夫をどんどん孤立化させていきます。
そして、衝撃的な結末が待っていました。

映画「愛、アムール」は、今日、公開です。

ひとくちに「家族」と言っても、その構成要素は実にさまざま。
しかし大きく分けると、配偶者と子供に分かれるのではないか。
そして、子供世代が親の終末期の尊厳を損ねている場合が多い。

「愛、アムール」の第二のキーワードは、親子関係だと思いました。
子供が小さい時の親子関係のみならず、時代の中での関係性は様々。
娘さんは何気なく描かれていますが私は大切な見どころだと思います。

この映画は、ハッキリ言って地味な映画です。
むしろ見て頂いたあとに、よく考えて頂く映画だと思います。
様々な見方ができる映画ですし、私は何時間でも語れる映画です。

(続く)