《1057》 映画「愛、アムール」と私の「平穏死・3部作」 [未分類]

この映画を観て驚いたのは、パリの高級住宅街も尼崎の下町も
直面している問題が、ほとんど共通しているということでした。
在宅療養や老老介護は、先進国の宿命かとも思いました。

私は、この半年間に3冊の本が世に出ました。

「平穏死・10の条件」
「胃ろうという選択、しない選択 平穏死からみる胃ろうの功と罪」
「平穏死という親孝行」(先週発売されたばかりです)

勝手に、「平穏死・三部作」と呼んでいます。

実は「愛、アムール」と、「平穏死・三部作」の主題が
あまりに重なっていることに非常にビックリしました。
テーマもタイミングもピッタリ重なるのです。

在宅療養は平穏死の条件です。
しかし老老介護を前提として、
食事介助等が必要になります。

それを下支えするのは、愛。
この映画の場合は、夫婦愛。
しかし子供の言動がそれを乱します。

今、病院も在宅も「家族」、特に子供とどう関わるかがテーマです。
遠くの長男、長女が突然やってきて、必ずこう言います。
「自分の親は、最期ぐらい最高の医療を受けさせてから死なせたい」

でも、人生の終末期に、最高の医療って何でしょうか?
延命治療ということでしょうか。
日本では、本人がイヤと言っていても子供の意見が優先します。

自己決定という概念がほとんど無い国ですから。
フランスではそのようなことは無いようですが、
子供の意見は、両親を精神的に追い詰めていきます。

フランスでは2005年にレオネッテイ法という法律が制定。
終末期の医療、特に尊厳死に関する法律です。
これで終末期医療は、ほぼ解決したのかなと思っていました。

しかしこの法律は、あくまで病院医療を想定しているようです。
日本においても医学会から終末期のガイドラインが出ています。
しかし、これらも主に病院医療を想定しているような印象です。

話は変わりますが、3月30、31日には、松山市で
日本在宅医学会が開催されます。
2日目は私が座長で「在宅での終末期を考える」のシンポです。

この学会は、介護職、事務職はもちろん、一般市民も参加OK。
むしろ大歓迎です。
ぼっちゃん劇団による市民向けの胃ろうの演劇もあるそうです。

戻ります。映画「愛、アムール」を観てください。
そしてお時間のある方は松山にもお越しください。
今日は宣伝ばかりになってスミマセン。

宣伝ついでに、今日は、栃木県大田原市で講演しています。
いつものように、「愛、アムール」の話もしてきます。
栃木県の方はどうぞお越しください。