《1067》 ミニ看護師みたいな介護職員 [未分類]

介護施設での看取りが、我が国の今後の課題です。
この場合の「看取り人」とは、介護職員です。
医療職ではなく、介護職です。

寝た切りの方は、ゆっくり時間をかけて悪くなります。
ゆっくり、ゆっくり・・・
認知症終末期というより、単なる老衰での最期です。

介護職員には、ゆっくり見守って欲しいのですが、
頻回にバイタルサインを、測っています。
体温、脈拍、血圧、呼吸数、酸素飽和度・・・・

夜中じゅう、1時間おきに、これらの値を測定し、
私のクリニックに、FAXを入れてくれます。
朝、職場に来たら、何枚ものFAXが届いていました。

夜中に、私に知って欲しかったのでしょうか。
しかし私は寝ていますし、そこにはいません。
きっと不安だったのでしょうね。

「夜中はバイタルを測らなくてもいいからね」
なんて、いくら説いても、彼らは必ず測ります。
「測らないと不安で呼吸ができない」そうです。

訪問すると、「発熱の原因は何でしょう?」と質問されます。
「さあ何でしょうね?」なんて、
ちゃんと答えないと真剣に怒られそうになります。

介護職員は、医療職なら何でも分かると思っているようです。
また少しでも医療の知識を持ちたいと、みなが願っています。
バイタルサインを測定したら、その原因も知りたいと。

いつから介護職がバイタルサインに振り回されるようになたのか。
私は「お願いだから、皆さんバイタルサインなど測らないで!」と
よく言ってしまいます。

しかし、測ってしまうのが「バイタルサイン」です。
いつから、介護職員がミニ看護師になったのでしょうか?
入所者と同様、職員ももっと平穏であることを願っています。