老人施設からほぼ毎日、携帯に電話がかかってきます。
「Aさんの食欲が急に落ちたので心配です。
今夜、食べさせたら吐きましたが・・・」
「感染性胃腸炎かな?
無理やり食べさせたら吐きますよ。
食べない時は一食、抜いてくださいね」
「先生、でも食べないと弱ってしまいます。
今夜、食べなかったので無理やり食べさせました」
「じゃあ、とにかく明日まで様子を見て下さい」
「ええ、先生、明日まで放っておくんですか?」
「そうです。様子を見てくださいね」
「何かしなくていいんですか?」
「何をするのですか?」
「点滴とか・・・」
「はあ、患者さんの様子はどうですか?」
「見た目はいつもと同じですが」
「じゃあ、やっぱり様子を見てくださいな」
「先生、夜中に死んだら困ります!」
「死にませんよ。死んだら私の責任ですから大丈夫!」
介護職員は、ここまで話をしてようやく納得。
毎日、こんな会話をしています。
何故、こんな会話が必要なのか、考えてみました。
医療には、様子を見る=経過観察、という選択肢があります。
これも立派な治療方針であることは、看護師も知っています。
もしかしたら、介護には、「経過観察」という4文字が
無いのかな?
最近、そう考えるようになりました。
しかし、今晩の夜勤と明日の夜勤はまた別の人です。
折角いろいろ教えても、短期間で介護職員が
コロコロ変わる施設もあります。
医療の現場も大変ですが、
介護の現場はもっと大変なことになっています。