《1070》  デジタル時代の看護って進化してるのかな? [未分類]

いろんなお医者さんや看護師さんが、在宅を見学に来ます。

「長尾先生、本当に、働いているんですね?」

「どういう意味ですか?」

「あんなに毎日、あれこれ書いているので
 てっきり遊んでいるものと思っていました」

「あれは、ストレス発散で僅かな時間で書いている
 だけです。ちゃんと働いていますからね」

訪問看護志望の看護師さんとも一緒に在宅を回ります。
病院の看護師さんは、患者さんとの距離が近いことと
自分で判断することが多いことに、全員驚かれます。

少しでも興味を持ったから見学に来られたのでしょう。
しかし、見学後、入職する看護師はごくわずかです。
ちなみに全国的に訪問看護師の絶対数が足りません。

大半の看護師さんは、このようなことを言われます。

「在宅でももっと機械が付いていると思っていましたが、
 実際は、お話と触ることが中心なのですね」と。

このように言われる看護師さんは、100%入職されません。

病院の患者さんには、いろいろな機械が付いています。
あのダイヤルを回して、時々、ピコピコ鳴らないと、
看護をした気にならないそうです。

また、こんなアナログな世界にいたら、
二度とデジタルの世界に戻れないような不安に
駆られるそうです。
とにかく、デジタルから離れられないようです。

「ええ?ピコピコが無いと、看護じゃないって?
 それが無いのが、最先端の看護なんだけどなー」
と、内心、もどかしい想いで一杯になります。

ピコピコが看護だって!?

家に帰っても、そう呟いています。

そう言えば、同じことを言ったお医者さんがいました。
いっぱい機械がついていないと医療をした気がしない、と。
そうそう、そういえば、研修医も同じことを言います。

ピコピコが無いから研修した気にならない、とも。

そういえば、当院には電子カルテもありません。

「生まれて初めて、紙カルテを見ました」
そう言ってくれた、研修医もいました。

かなり年寄りになった気分で悲しくなりました。