施設に訪問診療すると、介護職員が
入所者さんの訴えを沢山教えてくれます。
- 腰痛がある
- ふらつく
- 時々、ムセる
- 皮膚がかゆい
- 目ヤニが出る
全部、私にも当てはまるのですが……
歳を取るということは、病気が増えるということ。
それも治らない病気が、慢性的に続きます。
そんな当たり前のことを職員に説明します。
それでも職員は、こう言います。
「ところで先生、お薬は出して頂けるのですね?」
「いえ、特にひどい症状ではないので出しません」
「ええ?? 出してくださいよ」
「いえ、前のお医者さんからのお薬を、15種類から
やっと10種類まで減らしてきたところですからね」
「先生、そんなことを言わずに出してください!」
「いや、私の方針で出しません」
「お医者さんは、お薬を出すのが仕事じゃないのですか?」
「????」
「お薬を出さない医者=ヤブ医者」と言われているような気が……
こんな感じで、どうしてもお薬が増えがちです。
たまにお見えになるご家族さんの反応もさまざまです。
こんなに沢山お薬を出してもらってよかったね、
と喜ぶ家族。
一方、こんなに沢山お薬を出して、金儲け主義だな、
と憤慨する家族も。
施設職員と家族の顔色をうかがいながら、なんとか
お薬を減らそうとする毎日ですが、結構、大変です。
一番お薬が少ない方は、便秘薬1剤だけの人です。
その方は大変お元気です。
お薬がゼロの方もいます。
もはやご飯が食べられなくて、余命数日の方です。
お薬の減量は、じっくり時間をかけて行います。
勘のいい介護職員は、すでに気がついています。
お薬が少なくなるほど入所者は元気になることに。
《PS》
今夜は、広島で講演です。
最終で、帰阪します。
明日は、最終便で松山に飛びます。