《1075》 お薬を出さない医者はヤブなの? [未分類]

施設に訪問診療すると、介護職員が
入所者さんの訴えを沢山教えてくれます。

  •  腰痛がある
  •  ふらつく
  •  時々、ムセる
  •  皮膚がかゆい
  •  目ヤニが出る

全部、私にも当てはまるのですが……

歳を取るということは、病気が増えるということ。
それも治らない病気が、慢性的に続きます。
そんな当たり前のことを職員に説明します。

それでも職員は、こう言います。
「ところで先生、お薬は出して頂けるのですね?」

「いえ、特にひどい症状ではないので出しません」

「ええ?? 出してくださいよ」

「いえ、前のお医者さんからのお薬を、15種類から
 やっと10種類まで減らしてきたところですからね」

「先生、そんなことを言わずに出してください!」

「いや、私の方針で出しません」

「お医者さんは、お薬を出すのが仕事じゃないのですか?」

「????」


「お薬を出さない医者=ヤブ医者」と言われているような気が……

こんな感じで、どうしてもお薬が増えがちです。

たまにお見えになるご家族さんの反応もさまざまです。

こんなに沢山お薬を出してもらってよかったね、
と喜ぶ家族。

一方、こんなに沢山お薬を出して、金儲け主義だな、
と憤慨する家族も。

施設職員と家族の顔色をうかがいながら、なんとか
お薬を減らそうとする毎日ですが、結構、大変です。

一番お薬が少ない方は、便秘薬1剤だけの人です。
その方は大変お元気です。

お薬がゼロの方もいます。
もはやご飯が食べられなくて、余命数日の方です。

お薬の減量は、じっくり時間をかけて行います。
勘のいい介護職員は、すでに気がついています。
お薬が少なくなるほど入所者は元気になることに。

《PS》
今夜は、広島で講演です。
最終で、帰阪します。
明日は、最終便で松山に飛びます。