《1080》 当直職員への「看取り同意書」 [未分類]

日本在宅医学会2日目の午後は、「施設での看取り」という
シンポジウムの司会を任されました。
これからの日本において最も大切なテーマです。

午前中の在宅での看取りのシンポはTVで何度も放映されました。
一方、午後の施設での看取りは、メデイアは全く取材しませんが、
今後、こちらのほうが大切であると私自身は思っています。

いずれにせよ、この時に、最も大切な2つのシンポジウムの
司会を任されたことは、私自身にとっても天命であると思いました。
午前も午後も、本当に大切なシンポジウムでした。

年間120万人が、2025年には年間160万人亡くなる。
超高齢化のみならず、多死社会の中に我々は生きています。
現在、死亡の8割を占める病院のベッド数には限りがあります。

在宅看取りのみならず、介護施設での看取りが必要になります。
とはいっても、介護施設には、医療はほとんどありません。
医療が無い中で、外部の医療とどう連携しながら最期まで支えるか。

このテーマに様々な施設で働く人が、様々な問題点が指摘しました。
まず松山の施設の約半数が看取りに積極的であると報告されました。
たしかに、大都市より積極的であると感じました。

ただ、介護職員の精神的負担は、私の想像以上でした。
ある施設では、「看取り同意書」というものがあるそうです。
家族が同意するのではありません。

なんと、介護職員がその夜に看取ることに同意するそうです!
看取りで精神的にショックを受けるので同意書が必要だとか。
私は司会をしながら、この事実に一番驚きました。

夜中に1時間毎にバイタルサインを測りFAXする意味が分かった。
介護職員が、「看取る」というプレッシャーに耐えられないのです。
看取られる側はいたって平穏でも看取る側が全く平穏ではないのです。

ある施設では、夜勤に入る前に介護職員はお祈りをするそうです。
「どうか、私に当たりませんように」と。
まるで、ロシアンルーレットのような看取りが現実のようです。

主治医がしっかりサポートすることが大切だと思い直しました
数人看取りを経験した施設は自然に看取れるように成長します。
そう思い直し、今日も朝一番からグループホームを訪問します。