《1089》 手首や肘の骨折と施設ならではの哲学 ―― 施設入所者の転倒(その8) [未分類]

施設での転倒は日常茶飯事です。
毎日、どこかで、誰かが転倒しています。
外来でも、パンダのような顔を毎日見ます。

顔から突っ込む人。
肩で受ける人。
手をつく人。

膝のお皿を割る人。
足の付け根の骨を折る人。
腰骨がひしゃげる人・・・

手首や肘の骨折を時々経験します。
ご家族が入院を希望されなかった場合、
施設ではギブスを巻いて固定することは普通、ありません。

柔らかい添え木のようなもので支えることはあります。
要は、本人が痛くない体位を保ちながら
ある程度は自由に動かせるようにします。

そのあとは、ひたすら待つだけです。
3カ月もすれば骨折を忘れるくらい回復しています。
ちゃんと自分でお茶碗を持って食事をされています。

人間の体には自然治癒力があるのだ、と改めて思います。
当たり前のことですが、普段は忘れそうになります。
肝腎なことは施設のスタッフも家族も慌てないこと。

たいていは「待つ」だけで勝手に治ってしまいます。
整形外科の専門医には怒られるかもしれませんが、
施設には施設の哲学があるような気がしています。