《1091》 自力で歩いていた方は大腿頚部骨折だった! ―― 施設入所者の転倒(その10) [未分類]

あるグループホームで、転倒した入所者さんがおられました。
急いで往診すると、足の付け根を痛い痛い、と叫んでいます。
打撲しているので、まあ、痛いのでしょうが。

家族は念のためレントゲンを撮って欲しいと言われました。
その念のためが、実際はその通りで、当たっていました。
レントゲン撮影のため車で当院まで搬送されました。

車を降りたその人は、自力で歩いていました。
「歩いているから骨折はないだろう」と思っていました。
しかし、大腿骨頚部骨折、でした。

このような経験は、過去に2回したことがあります。
「大腿骨頚部骨折=歩けない」ではないのです。
人間って、すごいなと思います。

さて、その方は入院するかどうか家族は迷われました。
元々ヨチヨチ歩きなので、入院、手術しても、
寝たきりになる可能性があります。

そんな人をこれまで何人か診てきました。
かと言ってそのまま放置していても、
痛みのために、やはり歩けなく可能性があります。

高齢者の骨折は、どちらに転んでも悩ましい選択を迫られます。
まあ入院しても暴れて1日で病院を追い出される人もいますが。
その家族さんは、結局、手術をしないという選択をされました。

寝たきりになっても認知症にはそのほうがいいだろう、との判断。
主治医の私は、家族の判断に従いました。
2週間ほど痛みで歩けませんでしたが、少しずつ歩けるように。

そして1カ月後には、以前のようにまた施設内をウロウロ、
ヨチヨチ歩けるように回復。人間の生命力は本当に不思議です。
また転倒されるかもしれませんが、仕方がないと思っています。

以上、よくある施設での転倒について書いてきました。
整形外科医には怒られるかもしれませんが、私の経験談です。
転倒しても慌てず、冷静に対応することが大切だと思います。

さて、明日からは、高齢者からは、うって変わって若い人の
さまざまな健康問題について考えていきます。
今、若い人の食行動が大変なことになっているのです。