《1092》 「愛が、よくわからない」 [未分類]

昨日は大変な1日でした。
早朝5時33分の地震は、淡路島の北端が震源地でした。
18年前と時刻も震源も、よく似ています。

あの痛ましい記憶が、見事にフラッシュバックしました。
私は午前中、加古川市で尊厳死の講演の予定があったので、
神戸からタクシーで震源地をまたぐ形で西へ移動しました。

しかし渋滞で、思うように進めません。
予定より1時間も遅れてなんとか到着。
なんとか講演を終えることができました。

終了後、大阪で友人の結婚式に出席する予定でしたが
戻れなくなってしまいました。
電車は7時間以上経過してもまだ止まったままでした。

震源地をまたぐ形で東から西へ移動したあとに、
西から東に移動した人なんて、私ぐらいでしょう。
なんの因果かそのような羽目になった、妙な日でした。

幸い、在宅患者さんには被害はありませんでした。
人工呼吸器も酸素も電気で動く機械は大丈夫でした。
死にかけの人が「死にたくない」と飛び上がりました。

我がクリニックも小物が少し破損しただけでした。
阪神間にも大きな被害はなく、ホッとしています。
災害には心の準備が必要だとあらためて思います。

大阪で行われていた友人の結婚式に到着できたのは
披露宴もすべて終わってからになってしまいました。
行く先々、すべてが思うようにいかない一日でした。

いろんな人から心配電話やメールを頂いたことは
本当にありがたい、と心から感謝しました。
また結婚式の二次会では素晴らしい人達に出会えました。

あまりにも振幅の大きい一日の最後は、書店で一服しました。
自分の本は置いてあるのかなー、なんて思いながら。(笑)
そこで赤黒い表紙の一冊の本が目に留まりました。

「一度も愛してくれなかった母へ
 一度も愛せなかった男たちへ」
というタイトルに目がひかれました。

著者は、遠野なぎこさんという女優さん。
虐待、育児放棄、家庭崩壊、不倫・・・
彼女の愛と憎しみの物語が赤裸々に綴られていました。

裏表紙には、こう書いてあります。
「愛が、よくわからない」と。
うーん。

ついさっきまで結婚式の二次会で初対面のオヤジたちと
「愛とは何か?」というテーマで議論したばっかりです。
その直前には全員総立ちで「家族になろうよ」を合唱したばかり。

家に帰ると「35歳の女子高生」という
テレビドラマの初回が始まったところでした。
もう10年以上ドラマを見ていない私が、見入ってしまった。

トイレに籠って飯を食べる女子高生。
イジメられてリストカットを繰り返し
家に帰れば、両親の喧嘩が絶えない・・・

「愛とは何か?」

正面切ってそう聞かれても、54歳の立派なオヤジですが、
正直、よくわかりません。
しかし若者の病気の源は、どうも「愛」にあるようです。

(続く)