《1097》 芸能人の告白が、元気を与えた [未分類]

先日テレビを見ていたら、女優の遠野なぎこさんが
自分が摂食障害であることを、告白されていました。
芸能人がこの病気の告白したのは初めてではないか。

彼女は16歳の時から摂食障害と不眠症に悩みました。
母親から「吐く」ということを教わったのが事の始まり。
幼少時から母子関係が上手くいっていなかったようです。

テレビでは「自分のDNAが怖い」と言われていました。
おそらく母親も同じような境遇だったのかもしれません。
負の連鎖を恐れから思わず出た言葉であると感じました。

彼女は、鏡を見ることができないそうです。
自分自身を好きになれないのか、
現実を直視したくないのか・・・

実はこのテレビを、私の患者さんが何人か見ていました。
10代~30代の女性ばかりです。
遠野さんと同じように摂食障害で悩んでいます。

みなさん、両親との関係がうまくいっていないようです。
正確には、幼少時にいろいろあったようです。
親子愛というものが上手く育まれなかったように感じます。

私の患者さんは、あのテレビを見て「安心した」と言われました。
この病気で悩んでいるのは、自分だけじゃない。
そして、芸能人がこの病気を告白してるのを見て力をもらったと。

ある専門家は、親子の関係性は生後3年で形成されると言います。
またある専門家は、生後6カ月間がとても重要だと説いています。
その間のスキンシップやアイコンタクトが、どれだけ大切か、と。

生後6カ月のことは、普通、覚えていません。
生後3年目でも、ほとんど覚えていませんね。
すなわち自分が覚えていない赤ちゃんの時期に重要なことが起こる。

大人になって、摂食障害で悩んで、医療機関等を受診して
心理カウンンセリングを受けるうちに、親子関係に気がつく。
私自身の経験では、そのような人が実に多いと感じます。

いずれにせよ芸能人が摂食障害を告白されたのは意味があった。
なぜなら、摂食障害は、あまり人に知られたくない病気だから。
派手な男性関係やその他のことは告白できても、それは難しい。

話は変わりますが、パニック障害も告白しにくい病気です。
「怖くて電車に乗れません」と言ってもなかなか理解されないから。
しかし思い切って正直に友人や仲間に告白するとスッとするそうな。

女優さんの告白は、そうした意味で、摂食障害で悩む多くの
人たちに元気と勇気をを与えました。
どうも私の診察より、芸能人の言葉のほうが力があるようです。

もしかしたら、遠野さんが私の患者さんを抱きしめたならば、
摂食障害が改善するのではないかと、夢想してしまいました。
同じ病気の人が愛情と情報を交換することは意味があること。

昨日は、バリアフリー展という3日間の大きなイベントに参加。
数万人の方が来場される、とてもとても大きなイベントでした。
午前中は、巨大な会場の片隅で1時間強の講演をしていました。

終了後、テラスで弁当を食べながら行きかう人を見ていました。
車椅子に乗っている方や障害者を沢山お見かけしました。
みなさん、心なしか、嬉しそうに見えました。

その場には、障害者を理解してくれる人が大勢いるからでしょう。
障害に対する「愛」に溢れた場にいるだけで、元気になるのでは。
悩んでいる人に寄り添うことがどれだけ大切か・・・・

当たり前のことですが、なかなかできません。
しかし、それを再認識させてくれた、巨大イベントでした。
イベントは、明日までインテックス大阪で開催されています。