《0110》 血圧の薬を飲む、飲まない? [未分類]

「血圧」は、イタリア人 Riva-Rocciによって、1896年に発見されました。
「血圧」が発見されて、まだ、たった100年余りです。
それ以前は、「血圧」という概念はありませんでした。

一方、中国では、古くから「脈診」の概念がありました。
脈が大きい、小さいなど、両手首を両方の3本の指で感知します。
余談ですが、この脈診で、病気や病んだ臓器を特定してきました。

「血圧が高いことは病気である」と認識され、お薬で治療するように
なってから、まだ50年余。
しかし、血圧のお薬は目まぐるしい進歩を遂げました。

さて、この高血圧を、治療対象とする根拠はあるのか?
それは、高血圧は動脈硬化を起こすから。

動脈硬化は、心筋梗塞、脳梗塞を引き起こします。
がんに続く、重大な死亡原因は、心筋梗塞と脳卒中です。
心筋梗塞と脳梗塞の二つを合わせたら、がんを抜きます。
それらの、動脈硬化症の元凶こそが、「高血圧」なのです。

研修医時代は、「高血圧は、どれぐらい重要なんだろう?」と思っていました。
しかし、長く医者を続けるうちに、高血圧の人には、確かに血管が詰まる
病気が起こりやすいことを、身をもって実感してきました。

年とともに血圧は上がります。
しかし、壮年期から血圧が高いと、心臓、腎臓、脳をはじめ、
困った全身の合併症を起こします。

最近は、子供の生活習慣病が問題になっています。
若い世代の高血圧には、ホルモンが関与した2次性高血圧もあるため、
注意深い鑑別が必要です。

本態性高血圧症であれば、肥満の是正や、食塩制限、適度な運動を
行うことから始めます。
しかし、それでも不充分な時は、血圧のお薬を飲む必要があります。

よく、「一生飲むのか?」と訊かれます。
「それは分からないが、今しばらくは、飲んだ方が絶対に得ですよ」
と、説明しています。