《1105》 医療には愛が必要だ [未分類]

はたして日本の医療は、いい方向に行っているのでしょうか?

iPS細胞の研究が日々刻々と進み、市民の夢は膨らみます。
メデイアでは、さまざまな先進医療が紹介されています。
いろんな領域の名医達が、様々なメデイアに登場します。

しかし現代医療に対する不平不満も、よく耳にします。
よく聴いてみると患者さんの方が悪いこともあります。
もちろん、我々医療者が悪い場合も多々あるでしょう。

医療訴訟の話題も毎年、事かきません。
弁護士さんには、医療紛争は格好の飯のタネになります。
医者はそれを恐れて、デイフェンスメディシンになります。

医療の高度化と医療過誤。
これは当然であり、必然。
ある程度は、仕方がないことでしょう。

もちろんヒヤリハット報告を日々、しっかり行って、
事故防止に努めなければいけない責務を負っています。
しかし病院の時代を取り巻く諸環境は厳しいものがあります。

そもそも、医療に一番必要なものって、何でしょうか?
それが希薄になったので、様々な仕掛けが必要なのです。

私は、医療の原点は「愛」であると思います。

「愛」とは、相手を思いやる気持ち。

ただし、愛に基づいた行為であっても、
患者さんの想いとズレていればトラブルになります。
また家族の想いとズレていても、トラブルになります。

さらに医療の不確実性=不可抗力による失敗、もあります。
愛だけでは成立しないのが、現代医療です。
それでも、愛の無い医療なんて、あり得ないとも思います。

先日、周防監督の「終の信託」という映画を見ました。
主治医が殺人罪で裁かれる映画。
実話に基づいた重い内容でした。

チラシには「愛か、医療か、殺人か?」と書いてありました。
その「愛」って何ですか?と関係者に聞いてみました。
すると「患者」と「医者」の愛なのだと教えてくれました。

私はそれは「信頼関係」という言葉だと思っていました。
信頼関係も、「愛」という言葉で包含されるのでしょうか。
その映画は医療における愛を描いたものでもありました。

では、患者さんへの「愛」とは何でしょうか?

  • 患者さんの寿命を延ばすこと。
  • 患者さんが生活を楽しめるようにすること
  • 患者さんの想いに寄り添うこと

当たり前のことですね。
しかし3者の両立が、なかなかできないのが現代医療。

医学と「愛」を両立させる。
それが医療なのでしょう。

今日は「認知症と尊厳死」というテーマで夕方、大阪で講演します。
医局と高校の後輩である国会議員とのダブル講演です。

認知症と「愛」の話も、上手くできるといいのですが。
このテーマこそ、「愛」そのものだと感じたからです。