ある在宅患者さんを訪問した時に、家族から一冊の本を頂きました。
それは私にとって、素晴らしいプレゼントになりました。
お返しに拙書をお渡ししましたが、お返しになっていませんね。
その本とは、谷川太一さんの「柔訳 老子の言葉」です。
老子と聞けば、学校で習った記憶がある程度です。
覚えているような、いないような・・・
入訳とは、分かり易く翻訳するという意味の造語。
老子も釈尊も、今から2500年も前の人です。
しかし釈尊自身は自分の言葉を残していません。
お弟子さんが、あとの時代に言葉を編纂しました。
聖書も同じです。
キリスト自身が書いた訳ではなく書いたのはお弟子さん。
しかし老子は、自らが書いた、のです。
その文書が中国の古代遺跡から発掘されているそうです。
2500年前に老子自らが「選んだ」文字が、
今、谷川さんの言葉で日本語となって登場しています。
本書は、81章からなります。
仏教、神道、キリスト教をはじめとする世界中の
宗教、哲学のエッセンスが詰まっている気がします。
現代社会でも、まったく色あせない老子の言葉を知り、
ただただ、驚くばかりです。
なんとビッグバン理論や、中間子理論もみられます。
全81章の中で「愛」という文字が2カ所に登場します。
第6章の「母性的な愛情がすべてを生み出します」と
第14章の「難しいことよりも愛情が大切です」です。
本書を読み今後の自分自身の道標にしようと思いました。
忘れないように何度も読み返そうと思いました。
それでも、すぐに忘れてしまいますからね。
2500年前の哲人の言葉が、2013年の春に
谷川さんという語り部を通して、この世に再現された。
その本に触れたのは、なんと在宅医療の現場だった。
老子の思想の根底に、私は2つの言葉を感じました。
ひとつは「智慧」。
もうひとつは「愛」、です。
時空を超えて「愛」が伝わってきました。
是非みなさまに、読んで頂きたい本です。
自信を持ってお勧めいたします。
今年のGWは、読書と雑用と仕事でした。
平凡だけど、とても貴重な時間でした。
私が「愛」を感じた本を、5冊ご紹介しました。