《1135》 在宅ホスピス医で良かった [未分類]

私が出張できるのは、留守番をしてくれる
訪問看護師や医師たちがいるからです。
大変、恵まれた環境にいると思います。

あちこち寄り道をする気まぐれ生活のなかで
不思議に思うことが、いくつもあります。
たとえば、在宅看取りの患者さんのこと。

最近、本人が私の著書を読んで在宅医療を
依頼される事が増えてきました。
「平穏死・10の条件」を何度も読んでからの依頼です。

沢山の用事を終え、4日ぶりに帰宅しようとすると
末期がんの方のご家族から、携帯電話が鳴りました。
「たった今、静かに旅立たれた」、とのことでした。

旅立つ10分前まで、会話していたそうです。
料理を作り、ちょっと目を離した10分後に
驚くくらい静かに旅立たれたとのこと。

偶然、家族がみんな集まっていた時間帯でした。
在宅を開始して1カ月、そんなことも初めてでした。
まるで、私の帰りに合わせるように旅立たれました。

いつもこうなのです。
とても不思議です。
どうしてなのか?

お腹のがんのため、最初はお腹が張っていました。
しかし、数日後にはお腹の張りが減りました。
自然な脱水に任せたからです。

少しずつですが、また食べられるようになりました。
1カ月間でしたが、在宅生活を楽しんで頂きました
そして、文字どおりの「平穏死」でした。

亡くなった後に、尊厳死の宣誓書を見せて頂きました。
遺言状も詳しく書かれていたことを初めて知りました。
葬儀や遺産相続のことも、ちゃんと書かれていました。

それらの文書と安らかなお顔を見ていたら、
たいへん荘厳な気持ちになりました。
お祈りして御礼を申し上げ、診断書を書きました。

ご家族といろいろなお話をしながら、
在宅ホスピス医になって良かった、
と思いました。

今日から、また激務です。