《1137》 あなたの施設で平穏死できますか? [未分類]

昨日、ある有料老人ホームに入所されている方から
新規の往診依頼がありました。
急いで伺うと思ったより元気な老人が座っていました。

その90歳代の男性は、こう言いました。
「今、遠くの診療所から毎週、回診に来る医師がいるが、
 いざ最期の時になると、救急車で病院送りになる」と。

要は、その老人ホームは在宅専門クリニック(かなり遠い?)と
専属契約をしているので、勝手に主治医を変えられないと。
しかしいざ、死期が近づいたら、長尾に看取ってほしい、と。

拙書「平穏死・10の条件」を読んで往診を依頼されたのです。
以前も数人の方から全く同じようなことがあり、全員平穏死されました。
その時、ご家族は「本に書いてあるのと同じ」だと呟きました。

私は「それなら、早めに主治医を交代しておかないと
 イザと言う時に、死亡診断書を書けませんが」と言いました。
実際、そうなのです。

しかし、横に立っていたマネージャーらしき人が、
困った顔をしていたので、上手くなだめて帰ってきました。
やはり遠くにある在宅専門クリニックと契約しているようでした。

しかし、隣の部屋の友達は、最期は救急搬送されて、そのまま
搬送先で亡くなったそうで、そのようにはなりたくない、と。
「自分は、このままこの場所で死にたい」と明確に言われました。

その老人ホームの綺麗なパンフレットには、
3つの提携病院の外観写真が掲載されていました。
3つとも、素晴らしく立派で綺麗な外観でした。

ちなみに、その老人ホームの入所金を見てしまいましたが、
「うん千万円~」と書いてあり、「有料=高級」という意味でした。
その方は、退職金を全部はたいて入所されたとのこと。

そういえば、最近、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
からも同様の往診依頼がありました。
そのサ高住では、看取りをやっていないようでした。

2カ所の在宅専門クリニックと提携しているが看取りはしない。
やはり、最期は全例、救急車で入院、という方針のようでした。
しかしその依頼者は、その自分の部屋での最期を望まれました。

そのサ高住は、月に15万円程度と聞き、ちょと安心しました。
国民年金の方は無理でしょうが、厚生年金の方は入所できそう。
いずれにせよ、そのサ高住は終の住処ではないようでした。

私自身は、こうした施設から在宅を頼まれることは、ありません。
通院困難者さんと大きな病院から紹介される地域の患者だけです。
ですから、自宅の在宅は知っていますが施設の在宅は知りません。

よろず相談室をやっていると、サ高住や有料老人ホームに
入所されている方の看取りなどの問い合わせが多くなってきました。
ネット経由の問い合わせも同様です。

終の住処だと思って移り住んだら、実際はそうじゃなかった!
そんな感じの相談が沢山舞い込みます。
ところで、みなさまの地域の施設ではどうでしょうか?

在宅主治医は、自分で選べますか?
気に入らなかったら、チェンジできますか?
食事は美味しいですか?

私自身は、施設職員を対象によく看取りの講義をしています。
しかし実態は地域や施設によって、様々のようです。
もしお時間がありましたら、下記に書きこんでください。

あなたの施設(老人ホームとサ高住)で平穏死できますか?
お寄せいただいた意見や質問に、答えていきたいと思います。