風疹の大流行が、メデイアで繰り返し報道されています。
日常の診療でも風疹の患者さんを、ちょくちょく診ます。
そして、風疹のワクチン接種が推奨されていますが・・・
現実にはMRワクチンが1万円すると聞き、
尻ごみされる方がほとんどです。では、
どのような方がワクチンを接種すればいいのでしょうか?
実は、20代、30代の男性がワクチン接種の対象なのです。
この年代の男性が、抗体を持っていないことが多いからです。
ワクチン接種の目的は、妊婦さんを守るため。
妊娠初期の方が万一、風疹に罹ったら、大変なことになります。
そうならないために抗体を持っていない世代がワクチンを打つ。
ワクチン接種費用を負担しようという自治体が、増えています。
我が兵庫県でも風しん予防接種の助成が決定されたと報道。
我が尼崎市でも期接種者には費用の一部を償還することに。
全国各地で、公費助成の動きがみられ、喜ばしいことです。
しかし助成対象者は妊娠を予定希望する女性と妊婦の同居家族。
よーく考えてみると、妊婦の同居家族にワクチン接種をしても、
先天性風疹症候群は防げない可能性が高いことに、気付きます。
対象を、これから妊娠を予定している女性の家族や配偶者に
広げないと効果はないのではないでしょうか。
また最近の女性は結婚後も仕事を続け職場の男性同僚と接して
いる時間の方が配偶者との接触時間より長いという人もいます。
つまりワクチンを接種していない全男性を対象とするべきでしょう。
しかし男性は、自分がワクチン接種をしかたどうか覚えていますか?
そんなもの覚えていないという男性が多いのではないかと思います。
日本は、ワクチンに関しては国際社会から見れば、後進国です。
それは、もしアメリカに住んでみれば、強く感じることでしょう。
このアピタルに、錦光山雅子氏が書かれた記事のとおりです。
ワクチン接種をしないと集団生活を送れない社会システムなのです。
個人の利益ではなく集団の利益のためにワクチンを打つという考え。
そのために国家がお金を投資し厳しく管理するという社会なのです。
なんでもかんでも、アメリカがいいというつもりはありません。
しかし、今回の風疹騒動では、悪くいえば付け焼き場的な
行政の対応が浮き彫りになった、とも言えます。
今まで、おざなりにしてきた日本のワクチン行政のツケが
一挙に噴出した、ように見えます。
公費助成が決まったばかりの子宮頚がんワクチンも同様です。
副作用の認定、保障を巡ってこれから激しい議論が交わされます。
昔、インフルエンザワクチンの副作用を巡る議論が、
厚生労働省の大きなトラウマになっているのでしょう。
リスクとベネフィット。
そして国家がどこまで介入すべきか。
そして万一、副作用が出たときどのようなシステムで救済するか。
そこまで考えないと、今回の風疹ワクチンの公費助成を
素直に喜べないのは私だけでしょうか。
このアピタルを通じて、みんなで考えないといけない課題です。