《1152》 院内処方で頑張っていたけれど [未分類]

今日から暫く、お薬について、思いつくまま書いてみます。
本当はお薬とは無縁で過ごしたいのですが、現代医療では
お薬との関わりを持たずに医業に従事することは困難です。

医薬分業という言葉を知っていますか?

医療については、お医者さんに
お薬については、薬剤師さんに
それぞれお任せしましょう、ということだと理解しています。

昔の開業医は、自分の医院の小さな部屋を薬局にして
看護師さんやパートのおばちゃんが薬を作っていました。
それを院内処方と言います。

実は私も開業してから10年以上、院内処方で頑張っていました。
その方が患者さんにとってメリットがあると考えていたからです。
しかし、ある時についに限界が来たと感じました。

一般的な内科医院の場合、使用するお薬は200~500種類。
私の場合は、1000種類程度まで、増えてしまいました。
1000種類のお薬の置き場が、物理的に無くなりました。

そして数年前から、ジェネリックの時代が本格化しました。
昔は、先発品かジェネリックか、二者択一で置いていました。
しかしある時から両方を置いておかねば対応できなくなった。

仮に1000種類のお薬それぞれにジェネリックを置くとすると
2000種類のお薬の置き場所を考えなければなりません。
そうなるともはや片手間で院内処方できるレベルではありません。

昔は、お薬の数は少なかったです。
1~3種類の方が大半です。
しかし現在は、5種類、10種類の方もおられます。

病院からそのような多剤投薬の依頼状を持って来られるのです。
少しずつ減らす努力をしますが患者さん側の抵抗にあう場合も。
要するに医学の発達とともに使うお薬の数が増えてきたのです。

ある時、耐えきれずに、院外処方に切り変えました。
患者さんは、少し減りました。
院内処方のクリニックに、かわられたんだろうと思います。

患者さんにとっては、院外処方のほうが負担額が増えます。
取りに行く作業、動線も増えます。
一見あまりいいことはありません。

しかしあの紙(印刷されたお薬の説明書)がもらえる点がいい。
実際、院内処方の時代でも文句を言われる患者さんがいました。
「お前のところはあの紙も出さんのか、サービスが悪いの!」

実は、あれは確かにサービスかもしれませんが
患者さん側にもコストが、ちゃんとかかっているのです。
すなわち院外処方の方が、医療費は常に高くなるのです。

(続く)