《1158》 患者さんにジェネリック薬はどう届く [未分類]

国は強力にジェネリック誘導政策を進めています。
医療費削減のためです。

私のような町医者にも、その波は容赦なく押し寄せます。
いまや、「ジェネリックを処方しない医師=悪い医師」です。

さて、患者さんにジェネリックを飲んでもらうには
大きく言って、2つの方法があるように思います。

1つは、医者が処方箋に「ジェネリックへの変更可」に
○をする方法です。
もうひとつは、ジェネリック薬の商品名を書くこと。

「変更可」とは、先発品の名前で処方箋は書いておくが、
薬局で薬剤師さんと相談して変更してもいいという意味。
もちろん、先発品のままでもまったく構いません。

要は、薬局で決めていいですよ、と
薬剤師さんにお任せする方法です。
これは、医者にとっても非常に助かる方法です。

一方、直接、ジェネリック薬の名前を書く方法もあります。
私はジェネリックの名前が覚えられないので書きませんが。
大きな病院などでは、時々そのようにされているそうです。

ひとつの先発品に対して10ものジェネリックがあります。
特定のジェネリック薬を書いて「変更不可」とすれば、
その珍しいジェネリック薬を置いている薬局でしか薬が貰えません。

言いかえれば、特定の薬局への間接的な誘導に
なるような気もするのですが、私の勘違いでしょうか?
自信がありません。
また、患者さんの先発品を選ぶ権利を奪っている気がします。

毎日患者さんにジェネリックについて質問され困っています。
「同じ効き目で安い薬があるって、先生、本当ですか?」
「いや、成分や効き目がほぼ同じってことじゃないかな」

「ほぼ、ってどんなことですか?」
「だいたい、という意味でしょうね」
「じゃあ、だいたいって、大体どれくらい?」

いつも、寿司屋のマグロと回転寿司のマグロの話をします。
どちらも、マグロなので、同じといえば同じ。
しかし、違うといえば違う。

患者さんに充分な情報提供をして、納得して選んで
頂くことは、決して容易な作業ではありません。
そこは薬剤師さんに頑張ってもらうしかありません。

医薬分業のもうひとつの大きな意義は、
ジェネリック医薬品と、どう付き合っていくかということ。
その難問を薬剤師さんに担って頂くことだと思っています。

《PS》
昨夜は、校医をしている夜間高校で、
タバコの毒と薬物依存についてお話をしました。
みんな、熱心に聞いてくれました。

年々、その学校の喫煙率は確実に低下しています。
命の授業も、続けると効果があることを実感しています。
子供達が寝ないで聞いてくれたことが、とても嬉しかった。