《1159》 在宅患者さんにも風疹の影響が [未分類]

大雨の中も、日付けが変わるまで往診に明け暮れています。
訪問看護師さんも一緒ですから、とんでもない事業主です。
これから数日間は、お薬から日々の話題に戻して書きます。

在宅患者さんにも、風疹が見られています。
患者数が1万人を突破したと報じられていますが、
現場にいると、もっと多いような気がしています。

寝たきりの在宅患者さんは、閉鎖空間にいます。
なのに、どこから風疹に感染したのでしょうか?
実はデイサービスの運転手の男の子から感染したようです。

デイサービスは、寝たきり老人さんにとって社会との接点。
運転手や介護士は、風疹世代の若い人たちです。
そこから風疹になることも現実にあるのです。

老人の風疹は、結構、重症です。
熱が高く、肺炎のような症状になります。
高齢でも風疹抗体を持っていない人もいることを知ります。

さて、その在宅患者さんの家族の反応はどうでしょう。
子供世代、孫世代が毎日、その部屋に出入りしています。
お嫁さんが、妊娠しているかもしれない・・・・

そうなると、その在宅患者さんのお宅に「出入り禁止令」を
発令するのも在宅医にとって大切な仕事になります。
生活指導をきちんとしておかないと、後で大変なことになる。

家族3世代を集めて、風疹の講義をします。
いろんな質問が出ます。
どれも現実的には難しい話しばかり。

こうした中、感じることは、ウイルス感染を
完全に封じ込めることは現実には、
ものすごく困難な作業であるということです。
たとえば、寝たきり患者さんに誰がご飯を運ぶのか?

感染症対策は、個人のレベル、家庭のレベルでは限界があります。
社会全体の戦略と市民のモラルの両方が必要であると痛感します。
さらにワクチン接種に関しても、様々なジレンマがあるようです。

補助をつける自治体が、あちこち出てきました。
1万円の半分の5千円だけ自治体が負担しましょうと。
いいことですが、それでも高価なので尻ごみする方が多いです。

さらに、ワクチン供給が不安定なようです。
啓発が進み、需要が大きくなると、今度はワクチンが足りないと。
感染症対策は、本当に難しい・・・

在宅患者さんの風疹感染を通して、いろんなことを考えます。

今夜は、千葉県柏市で漢方と在宅医療の講演をしています。
柏市といえば、地域包括ケアのモデル地区です。
そんな柏市で、地域包括ケアについても持論を話してきます。