《1164》 水虫の薬と眠剤の奇妙な関係 [未分類]

先日、ある高齢者に、爪水虫の薬と眠剤の
2種類のお薬を処方しました。
爪水虫の薬とは、塗り薬ではなく飲み薬です。

しかし、30分後、薬局の薬剤師さんから
電話がかかってきました。
先日、このブログで紹介した疑義照会です。

「この2つの組み合わせは、危ないです」との警告。

その水虫のお薬の半減期は、30時間。
つまり1日以上、効いています。
そして、眠剤を分解する酵素を邪魔します。

すなわち、その飲み合わせで飲むと、
眠剤が予想以上に長く効いてしまうのです。
つまり翌朝になっても効くことになるのです。

そういえば、その高齢者は、過去に2回も転倒しています。
2回目は、大腿骨頚部骨折を起こして手術したばかりです。
この2剤を併用すると、翌朝転倒の可能性が高くなります。

娘さんに来て頂き、以上の説明をしました。
眠剤を取るか、水虫を取るか2者択一をお願いしました。
その結果、水虫の飲み薬を諦めることになりました。

実は、このように何気ない組み合わせは時々あります。
併用注意という組み合わせですが、
院内処方では、まず見逃されてしまいます。

医薬分業による疑義照会で助かりました。
新たな転倒をひとつ予防できたかな気がしました。
これも医薬分業のおかげであると思いました。

《PS》
先週の後半は留守をしていました。
週明けは、また嵐のような忙しさ。
外来、往診、訪問診療で深夜まで。

癒しの貯金も1日で使いきってしまった感じ。
今日は、昼間の産業医業務にも頑張ります。
町医者も、やることがいろいろあります。