一般に抗がん剤は、驚くほど高価です。
口から飲むものも点滴も高価なのです。
薬局で患者さんが驚くのは、経口抗がん剤です。
一瞬、何かの間違いじゃないかと思うそうです。
あるいは計算がひとケタ間違っているのではと。
それほど、がんをやっつける薬は高い薬価です。
TS-1という有名な経口抗がん剤があります。
胃がんをはじめ、膵臓がん等によく使われます。
先月、そのジェネリック医薬品が出ました。
薬価は、先発品の約7割だそうです。
つまり、患者さんは3割引きで薬を手に入れます。
値段にこだわる人はジェネリックを選ぶでしょう。
どちらがいいか、もし私が聞かれたら大変困ります。
患者さんの経済状況を聞いてから答えが変わるかも。
お金に困っている人ならジェネリックを勧めるはず。
「薬剤師さんとよく相談してください」
そう言って逃げるという手もあります。
実は、この問題はとても奥が深いのです。
さらにややこしいことに、TS-1のジェネリックは
保険適用があるのは、胃がんだけです。
膵臓がん等には、保険診療では使えないのです。
どうして?
実は、私もそう思います。
厚労省がそう定めているからとしか答えられません。
ジェネリック医薬品を、国を挙げて宣伝しています。
患者負担が安いことは、純粋に、いいことです。
しかしそれ以外にいろんな制約がつく場合もあります。
確実に言えることは、抗がん剤もジェネリック医薬品を
どう選択するかの時代に入ってきたということです。
やはり薬剤師さんにいてもらうと、医者は助かります。