《1176》 門前薬局 vs.「門内薬局」 [未分類]

医薬分業が進み、院外処方箋が発行されます。
患者さんが向かう薬局は、たいてい門前にあります。
大きな病院の前には、何軒かの薬局が並んでいます。

門前ではなく街中にある薬局もあるにはあります。
しかし経営がなかなか大変だそうです。
かくして、ほとんどの薬局は門前となります。

ある高齢の患者さんに聞かれました。
「なぜ、わざわざ雨に濡れながら薬局に行くのか?」
「なぜ、クリニックの中に薬局をおいてくれないか?」

多くの患者さんは、2回お金を払うことを嫌がります。
院内処方の時は、当然1回でした。
医薬分業で、お金を払う回数が2回に増えたのです。

この2回を変えるのは難しいでしょう。
しかし、門前を門内、すなわち薬局が
もし医院内にあれば、患者さんはとっても便利です。

東北の震災後、宮城県のある島の診療所を手伝った時。
その診療所の中に、大きな薬局がありました。
薬剤師さんが数人は入れるような立派な調剤室でした。

医師免許は薬剤師の免許も兼ねているので、
お薬を作ることがありました。
そこでは処方箋に似た紙が、使われていました。

その紙を見ながら、薬局でお薬を作っていくのです。
私も昔、自分でお薬を作っていた時代もありました。
その時を思い出しながら、お手伝いをしたのです。

そこの看護師さんに聞いてみました。
「これって立派な薬局ですが、院外処方ですか?」
答えはやはり、院内処方、でした。

その時、スペースさえあればこれができるんだ、と
思いました。
医薬分業した院内処方です。

薬剤師さんは1人で、あとはパートのおばちゃんの
ようでしたが、法律的には問題ありません。
院内処方なら、これができるのです。

最近、「門内薬局」という言葉を聞いてピーンときました。
門前に対して、門内なのです。
患者さんにとっては、門内のほうがいいに決まっています。

足が悪い外来患者さんのことを考えると、門内にして
あげれたらどんなに喜ばれるか、と思う時があります。
門前も門内もそう変わらないと思うのですが。

もし門内薬局で、医薬分業ができれば
一番いいと思うのは、私だけでしょうか。

最近、院内処方に戻った病院は、
門内のようなものだと思います。

医薬分業はいいことですが、医院と薬局との位置関係に
ついては、まだまだ考える余地があるように思います。