病院死と在宅死の数が逆転したのは、1976年。
昭和51年です。今から37年前のことです。
現在、37歳以下の方は、まだ生まれていません。
1976年、私は高校1年生でした。
それ以前は、在宅死のほうが多かったのです。
それ以来、病院の時代が続いているのです。
在宅、在宅と言われますが、決して新しいものでも
特別なものでもありません。
ただ、50年前に戻っているだけなのです。
じゃあ、100年前はどうだったのか?
もちろん、90%以上、在宅死でした。
現在、100年前に回帰しようとしているだけです。
さて、漢方薬の歴史もどこか似ています。
130年前までは、日本の医療とは漢方のみでした。
歴史的にどう見ても、日本医療=漢方。
現在は西洋医学が主体なので、東洋医学とも呼ばれます。
漢方も130年前の西洋医学が「蘭方」と呼ばれたので
それに呼応して「漢方」と呼ばれるようになったのです。
西洋医学は、病気を分析します。
東洋医学は、人間を総合的に診ます。
西洋医学は、病気を治すことを目指します。
東洋医学は、生活を支え、生活の質の向上を目指します。
現在の医療現場は、西洋医学という縦糸でいっぱいです。
そこに、横糸を通す思想が、「漢方」だと思っています。
時には、横糸だけでいい場合もあるでしょう。
超高齢・多死社会は、縦糸だけでは乗り切れません。
これから10年、20年間、我々は縦糸と横糸を
上手に織りなす医療を模索しなければなりません。
それには、医師と薬剤師のみではなく、
患者さん自身のご理解も必要です。
「漢方」という思想を、一緒に学びましょう。
もうひとつの医療に触れることで、より元気になれます。