《1184》 もしお薬が無い医療だったら [未分類]

私は医学生の時から、薬の無い医療を目指していました。
無医村に入り生活指導で村民を元気にしようと活動したのです。
もっとも学生なので、お薬の処方はできませんでしたが。

医者になって最初に覚えたお薬は、PL顆粒でした。
それ以降、30年間で何百、いや千を超える
お薬を使ってきました。

しかしお薬は先発品だけでも、その何倍もあるのでしょう。
医者であれば、どんなお薬でも知っているだろうと思っている
患者さんがおられますが、そんなことは絶対あり得ません。

たいていは、自分の専門分野と一般薬しか知りません。
病院の医者よりもむしろ町医者のほうが、
多領域の薬を知っています。

私は、時々、夢想する時があります。

もし、お薬が無い医療だったらなー、と。

実際、まったくお薬を希望されない患者さんが
数は多くはありませんが、定期的に来院されます。
さまざまな相談をするためです。

血液検査やエコー検査のみの方もおられます。
多少の異常があっても、お薬は拒否されます。
それはそれでいい、と思います。

というか、本来、あるべき姿でしょう。
説明だけで病気を治療することを、ドイツ語で
ムンテラと言います。

ムンテラだけの医療が、一番気が楽です。
薬剤費の心配も副作用の心配もしなくていいから。
第一、それを希望される患者さんも、喜んでくれます。

しかし、薬局や製薬会社は商売あがったりです。
一応、遠慮しながらこれを書いています。

では、江戸時代はどうだったのか?
当時は、煎じ薬の漢方薬しかありませんでした。
だから何か一剤となれば、漢方薬のことが多いのです。