《1188》 PTPシートの誤飲は深刻です [未分類]

認知症の人などが、お薬を包装シートのまま
飲み込んでしまうことが、たまにあります。
気がついた家族がクリニックに連れてきます。

プラスチックとアルミ箔で1錠ずつ包装された
お薬のことを、「PTPシート」と言います。
1960年代から導入されています。

PTPシートごと誤飲した場合、レントゲンを
撮りますが、写らないことがよくあります。
そこで、その場で胃カメラを飲んでもらいます。

PTPシートの四角はたいへん鋭利なので、
喉や食道や胃粘膜を傷つけることがあります。
胃の出口の幽門を通過する時は粘膜が切れます。

小腸の壁に突き刺さると、壁に穴が空くことも。
放置すれば死にますので、早急な対処が必要です。
まずは、内視鏡でとり出すことを試みます。

胃の中にあるPTPシートを鉗子でつまんで、
折りたたんで、そっと内視鏡ごと引き揚げます。
成功の喜びは、UFOキャッチャーに似ています。

内視鏡で命を助けた!という実感はあります。
もし失敗したら、開腹手術で取り出す以外、
方法はありません。

そうした事故を防ぐため、角を丸くしたり、
2錠を1単位にするなどいろんな工夫がされています。
それでも、時々、PTPシート誤飲はあります。

実は、先発品とジェネリックで、PTPシートの
細かな性状がだいぶ異なる場合があります。
一般に先発品の方が、誤飲対策が進んでいます。

内容成分はともかく、錠剤の包み方も両者で違います。
それを嫌い、昨日の「一包化」をすることもあります。
何でもそうですが、安全には見えないコストがかかる。

誤飲が心配な家族は、是非、薬剤師さんにご相談を。
お医者さんは、意外に薬の現物をあまり見たことがない。
お薬の外観に関しては、薬剤師さんにはかないません。

よく、「あの丸い薬」とか、「あの青い玉」が欲しいと
いわれる患者さんがおられて、困ります。
残念ながら、私には分からないことがよくあります。

そんな時、必ず薬剤師さんに聞くようにしています。
PTPシートの形状も、よく変わります。
今度、ゆっくり眺めてみてください。

《PS》
昨日は、朝日カルチャーセンター新宿での講演に
遠方よりもたくさん来て頂き、ありがとうございました。
この場をお借りして御礼を申し上げます。

次回、千葉の朝日カルチャーセンター千葉教室で、
来年2月13日(木)に講演しますので、
よろしければ遊びに来てください。