《0119》 カルシウム拮抗剤は優等生 [未分類]

日本の高血圧薬市場は、カルシウム拮抗剤が独占してきました。
比較的安価で、安全だからでしょう。
日本人に多い「冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症」に有効なことも、
一因かもしれません。

医師免許をもらって以来、この薬を処方した回数は数えきれません。
多大の信頼と実績を持つお薬だと言えるでしょう。
最近、台頭が著しいARBがライバルですが、コラボ(合剤)も増えています。

商品名でいうとアダラートCR/ノルバスク/アムロジンを、私はよく処方します。
ノルバスクとアムロジンは、全く同じお薬です。
一般名は、アムロジピンといいます。

同一先発品を、2社が併売しています。
二者は外見が異なるので、違う薬だと言い張る患者さんもおられます。
あるいは、一方がジェネリックだと、勘違いしている患者さんもおれらます。

そうではありません。
ジェネリックはジェネリックで沢山あります。

カルシウム拮抗剤は、血管を拡張させるため、ほてりという副作用があります。
しかし、最近のカルシウム拮抗剤は、ほてりにくいお薬に進化しています。
それでも、ほてりやすい方とそうでない方に、分かれると感じます。

また、従来、脈拍を上げる薬が多かったのですが、上げない、もしくは少し
下げるお薬も登場しました。
一方、むくみが多少出ることもあります。
全般的に見て、欠点の少ない優等生なのが、このお薬です。

しかし、高血圧のお薬とは、所詮、無理やり血圧を下げるお薬。
効き過ぎると、やはり元気がなくなります。

200の血圧を140に下げることは、医学的には絶対的に正しいことです。
しかし、「仕事の意欲がなくなった」と文句を言われることもあります。
また、「性欲が減退し、EDになった」と隠れた副作用も聞こえてきます。

何事もそうです。
ゆっくりが、大切。
高血圧の是正も同じです。
長く高地で暮らしてきた方のように、長い間、高い血圧に順応してきた方なのです。
ゆっくり下山するように、血圧もゆっくり降ろしていかねば、思わぬ副作用に泣きます。

高血圧治療も、かかりつけ医との二人三脚です。
まさに、共同作業だと思います。