《1196》 熱中症で28人死亡の重み [未分類]

めまい、頭痛、吐き気を訴えて受診された若者がいました。
朝一番から屋外作業に入って1時間後にそうなったのです。
受診されたのが、午前11時。

汗をビッショリかいてトボトボとよろけながら歩いています。
熱中症と診断して涼しい場所で500mlの点滴をしました。
それだけで見違えるように元気になり、帰って行かれました。

その若者は自分で歩いて早めに受診されたので助かりました。
「助かりました」?
若いのに大袈裟な、と思われる方がいるかもしれません。

この夏、全国で熱中症で2万人が救急搬送されて、
28人が死亡されています。
結構な数字だと思います。

もしこの「熱中症」が「新型インフルエンザ」だったらどうか。
おそらく世の中、大騒ぎになると思います。
ウイルスをうつされてはいけないと、必死で自衛するでしょう。

一方、多くの方は、自分は熱中症と関係無い、と思っています。
高齢者の室内熱中症も若者の屋外熱中症もみんな、まさかです。
自分は関係無いと思っているひとが、熱中症になっていきます。

28人の死亡者の一人を、私は間接的に知っています。
まったく元気な若者が、元気に出勤したった1時間の屋外作業
をしただけで熱中症になり搬送されましたが、亡くなりました。

その経緯を知っている関係者はみんな信じられないと言います。
その「まさか」が、熱中症の怖さかと思います。
ということで、産業保健の現場でも、何度も熱中症の話をします。

軽症~中等症は、涼しい場所で経口補水療法です。
OS-1などの、塩分をやや多く含む水を飲ませてください。
意識が朦朧とした重症者は、すぐに救急車を依頼してください。

熱中症死は予防ができる「死」です。
現実を知っているか、知らないか。
大袈裟な話かもしれませんが、是非、啓発をお願いします。

《PS》
今日は、大阪で平穏死の話をしたあと、福島に行きます。
夜遅く、相馬市のみなさまと1年ぶりに再会します。
明日は、南相馬市で相馬野馬追いを少しだけ観戦します。