《1199》 毎日が骨折の相談 [未分類]

高齢者の骨折の相談を毎日のように受けます。
自宅や施設で転倒し救急車を呼んだ、
まではよかったけれど、病院でいろんな話が待っています。

手術にさまざまな合併症が予想される不安や
術後のリハビリに関する相談などが寄せられます。
中には、入院後認知症状が出て手術ができない例も。

子供達は突然の選択に、オロオロです。
しかし高齢の親を持っていること自体、
いつ骨折してもおかしくないのですが。

拙書「平穏死・10の条件」のなかでは、
「骨折をシミュレーションしましょう」と呼びかけました。
しかし、なかなか現実には難しいようです。

また、すでに手引き歩行や歩行器での歩行の人が
転倒して大腿骨頚部骨折に陥った場合、
手術をしても結局、寝たきりになる場合がよくあります。

以前、このアピタルに書かせて頂いたように
高齢者の骨折は自然に治ることが多いです。
大きくずれていない限りは自然にくつっくのです。

そんなことを書くと、えー?という人もいるでしょう。
しかし事実は事実、現実は現実、です。
経験豊富な整形外科医なら、知っていると思います。

犬や猫も骨折します。
しかし手術をしなくても、ちゃんと歩いていますよね。
それと同じことです。

骨折=入院=手術、だという先入観がありませんか?
家族も医療者も介護者も、そう刷り込まれていませんか?
そんなお話から始めています。

実際、私が在宅や施設で診ている患者さんの多くは
入院せずに自然治癒しています。
認知症の進行もありません。

施設の職員や家族も最初は半信半疑でした。
しかし2カ月もすると、もう骨折のことを忘れています。
機能障害を残さず、元どおりに生活されています。

ただし、痛み止めだけは充分にやります。
あと骨折によっては脂肪塞栓の注意が必要です。
大切なことは慌てずに、まず相談することです。