《1209》 成年後見人制度を上手に使う [未分類]

認知症の初期症状は、ときにたいへん分かり易い場合があります。
高齢男性が怒りっぽくなるか、反対に無気力になるとかなり怪しい。
一方、高齢女性が「嫁がお金を取った」といえばそれだけで認知症。

さて家族の認知症が進行して周囲が困ることのひとつは財産管理
銀行口座など本人確認が必要な場合、いくら自分が子供であると
主張しても取り合ってもらえない場合があります。

そうした時のために成年後見制度という代理人制度があります。
介護保険制度が誕生したのと同じ、2000年に誕生しました。
どちらも認知症時代を予見していたのでしょうか。

成年後見人制度は案外複雑で奥が深く私も詳しくは知りません。
しかし最近、後見人の診断書を頼まれることが増えてきました。

裁判所の審判による「法定後見」と、本人の判断能力が十分な
うちから後見人と契約をしておく「任意後見」とがあります。
法定後見は裁判所を、任意後見は公証役場を通して後見人が決まります。

法定後見は、さらに「後見」「補佐」「補助」に分かれます。
一番多いのは、もちろん「後見」です。
後見人制度を利用するためには、「申し立て人」が必要です。

問題は、誰がその言いだしっぺになるのか、ということです。
申し立て人は、後見人を選ぶまでの諸費用を払う義務があります。
一般的に司法書士さんに依頼した場合、20万円強の費用が必要。

それは申し立て人の負担になります。
それを聞いただけで「やっぱり、やめておこう」と思うかも。
知っておきたいのは認知症の「本人」も申し立て人になれる事。

それも、「補佐」や「補助」だけではなく、
「後見」の申し立て人になれることはあまり知られていません。

自分で判断できないから後見人に委託するのですが、
自分自身も申し立て人になれることはあまり知られていません。
なんだか不思議な気もしますが、そういうことになっています。

また一度選定された後見人は原則、一生変更することができません。
成年後見制度は、この13年間で約30万人の人が利用されました。
現在300万人いる認知症のうち利用したのはその10分の1です。

私は決して、後見人制度の利用を勧めているわけではありません。
そんな制度を利用しなくて済むならそれにこしたことはありません。
しかし現代社会では認知症の人を取り巻く環境は実にさまざまです。

別居や独居をはじめ、様々な事情があります。
認知症の人の財産を巡る不毛なトラブルを回避するためにも、
後見人制度を上手に利用したほうがいい場合があると思います。

もちろんご家族が、後見人になれば一番いいでしょう。
しかし家族がいないとか、いても疎遠や喧嘩しているなど、
様々な大人の事情がある場合があります。

そんな場合、赤の他人が後見人になります。
司法書士さんや弁護士さんは1割ずつくらいだそうです。
市民後見人はまだ1%以下と、まだこれからだそうです。

備えあれば憂いなしとよく言いますが
認知症になった時の財産管理等が心配な方は、
まだ元気なうちから後見制度を勉強しておいてください。、

《PS》
昨日の関西は、暑さに加えて地震騒動でたいへんでした。
しかし浴衣を着た若者が夜遅くまで夏を謳歌しています。
若いっていいな、なんて思いながら汗を拭いていました。

今日は、長崎に原爆が投下された日。
8月6日の広島と並び、人類が忘れてはならない日です。
今日も正午に黙とうを捧げます。