《1218》 食べられるのに食べさせない [未分類]

この2日間に4つのグループホームで講演をしました。
家族さんやスタッフの生の声、質問は勉強になります。
お孫さん世代の女性からからこんな質問がありました。

おばあちゃんが脳梗塞で入院して1カ月を超えた。
本当は食べられるのに、食べさせてもらえない。
鎖骨下静脈からの高カロリー輸液を続けてきた。

それはイヤだと言ったら、胃ろうを勧められた。
おばあちゃんは、本当は何でも食べられる。
看護師さんの目を盗んで、どら焼きを食べさせている。

ムセルことなく美味しそうに食べれるし、水も飲める。
私がしている事は、悪いことでしょうか?
勧められている胃ろうはどうしたらいいでしょうか?

このような質問は全国、どこで講演しても聞かれます。
ある意味日本の医療を象徴している質問だと思います。
食べられるのに食べさせない、のが現代医療。

嚥下を評価する検査やリハビリや口腔ケアという
言葉はそこには出てきません。
誤嚥性肺炎を起こすから、というのが絶食の理由。

しかし誤嚥と誤嚥性肺炎は別物。
誤嚥は我々も日常でよくしている。
咳をすることで誤嚥性肺炎に至っていないだけ。

胃ろうの適応はないと思う。
正直に現状を主治医に伝え、話し合ってはどうか。
以上のような回答をしました。

結局、この2日間、

  • 移動という尊厳
  • 食べるという尊厳

について話していました。

考えてみてください。
一生、牢屋に入れられて、食べることを許されなかったら、
我々は生きていけるのでしょうか?

いろんな質問が出るのでグループホームでの講演は面白い。
お話をしながら、グループホームの可能性も感じました。
次回は年末に、また何カ所か回りたいと思います。

深夜、お腹のがんで苦しむ在宅患者さんを往診しました。
食べたら吐くけれど食べても構わない、と説明しました。
在宅ホスピスは、病院の考え方とかなり違う。

がん性腹膜炎でも食べられる、と言っている意味を、
時間をかけて説明したら患者さんも納得されました。
結局、在宅現場でも1時間、深夜の講演をしました。

今日の話を詳しく知りたい方は、拙書

をお読み下さい。