《1223》 やっぱり、プライド [未分類]

認知症になったら在宅療養は大変だ、と多くの人は言います。
暴言や妄想や徘徊といった、いわゆる周辺症状(BPSD)に
どう対処したらいいのか分からないのでそう思われるのです。

しかし、それは誤解であることがよくあります。
周辺症状には、多くの場合、理由があるのです。
その仕組みを知ることで対処法が見えてきます。

まず「俺(私)をバカにしているのか!」と怒るタイプから。
これはエリート官僚、学校の先生、医師など社会的エリート、
女性であればキャリアウーマンだった人によく見られる言動。

このタイプの周辺症状は「葛藤型」とも呼ばれています。
自分のあるべき姿と、老いてしまった現実の自分の姿が
あまりにもかけ離れてしまい、葛藤している姿なのです。

それをなんとかしてあるべき姿を取り戻したい。
そうした願いから出た言葉であると理解したい。
少なくとも私はそう考えるようにしています。

しかしいくら昔の自分に戻りたくても戻れません。
そこで葛藤が起き、怒りに発展してしまうのです。
自分の老いを見たくないので暴力や被害妄想になる。

異食や弄便、何度も介護者を呼びつける行為も同様です。
そうならないためには、その人らしい役割を作ってあげ
プライドをしっかり満たしたケアを心がけたいものです。

私は認知症の元・お医者さんや元・学校の先生を
診察する時は、必ず「先生!」と呼びかけます。
すると、素直にすごく喜んでくれます。

このようにその人の人生の功績をねぎらう言葉を
敢えて使い、誉めるとずいぶんと場が和んでいきます。
認知症ケアは、やっぱり、プ ラ イ ド なのです。