今日は、「家に帰る!」という人にどう対応するかの話。
こうした帰宅願望は、「回帰型」とも呼ばれます。
夕暮れになると多いので夕暮れ症候群とも呼ばれます。
ここで帰ろうとする「家」とは、
小さい頃や幸せだった頃の家のことです。
その人の人生が最も輝いていた時代の。
男性であれば、会社でバリバリ働いていた現役時代。
寝たきりでも「会社に行く!」という男性もおられます。
女性であれば育児や家事に没頭していた時代の「家」です。
医学的には、見当識障害といいます。
そうした「回帰型」の周辺症状に直面した場合、
本人の切迫感に話を合わせることが何よりも大切です。
徘徊に付き合う時は、必ず会話をしましょう。
また居室を私物で満たして環境を変えない工夫も大切。
さらに意外に効果があるのが、法事です。
すでに亡くなった人のお墓に行って一緒にお線香を
あげる作業は、見当識障害を和らげます。
このお盆には、認知症の人の墓参りに同伴しました。
あと「無為、自閉」とは、自分の世界に閉じこもるタイプ。
これは「遊離型」とも呼ばれています。
つらい現実から逃避している姿です。
大人しくて素直な人、これまで自己主張をしてこなかった人が
認知症になった時、陥り易い周辺症状です。
お風呂にも入らない、食事や会話も拒否する人は、この遊離型。
このタイプには、五感に訴えかける働きかけが有効です。
握手やハグなどのスキンシップ、風船を使ったバレーボール、
音楽鑑賞などで、かなり表情が和ぐことが分かっています。
このタイプは、結構大人しく目立たないし、
誰かを困らせるわけではないので放置されがちです。
しかし上手く対応をしないと、さらに元気が無くなります。