《1228》 睡眠薬の効きすぎで転倒が起きます [未分類]

不眠を訴えて睡眠薬を希望される高齢者が沢山います。
「寝れない、寝れない」とあまりにしつこく言うので
「寝ないで死んだ人はいない」と言うと怒りだします。

日本ではベンゾジアゼピン系と言われる睡眠薬が
多用されています。
若い人にはいいかもしれないが高齢者には効きすぎも。

夜中や翌朝になってもまだ効いていて、ふらつく方も。
それでもし転倒し骨折されたら、目も当てられません。
だから高齢者にはその系統はできるだけ処方しません。

不眠を訴える人はよく聴くと昼前まで寝ていたりします。
午前3時に寝て11時に起きる人の睡眠時間は、8時間。
これは睡眠薬による単なる「寝過ぎによる不眠」なのです。

必要な睡眠時間は歳とともに減っていきます。
8時間というのは、あくまで成長期の若い人の話。
30歳で7時間、65歳で6時間寝れば充分です。

もちろん個人差があります。
しかしその方の若い時より確実に短くなってきます。
私自身も昔は8時間でしたが、現在は6~7時間です。

不眠恐怖症のような方もよくおられます。
床に入った途端に「寝られないのでは」という不安に襲われる。
昼間に飲むゆるい安定剤を飲むと、不安が軽減しよく眠れる。

すなわち不眠ではなく、不眠になるのではという不安から
解放してさしあげると、安心して良く眠れるのです。
やはり、安心して心底リラックスしないと眠れません。

介護施設に行くと、午後6時から寝かせるところがあります。
寝ない、というコールで見にいったらまだ午後10時でした。
病院も9時消灯、6時起床ですので不眠症になって当然かも。

メラトニン製剤は、「夜ですよー」と知らせるホルモンの薬。
私は施設入所者や転倒しそうな人に最近これをよく使います。
外が暗くなったら飲んでもらい睡眠リズムを作っていきます。

介護施設での認知症の方の睡眠問題は、かなり切実です。
本人というより周囲のために家族は睡眠薬を希望します。
こうした話をああだこうだ言いながら、お薬を出します。

人生の3分の1は眠っている時間、とよく言われます。
たしかに睡眠はとても大切。
もう少し睡眠を真面目に考えないと、といつも反省します。

私の場合、眠くなった時に眠りにつくようにしています。
眠くない時に寝床に入っても簡単に寝つけないからです。
正確には、単なるバタンキューですが。

寝苦しかった夏もそろそろ終わりでしょうか。
コオロギの泣き声に、秋の気配を感じています。
この夏、夜に私は一度もクーラーを使いませんでした。