《1230》 普通の生活を保つのが一番大事 [未分類]

認知症ケアについて思いつくまま書いてきました。
少しまとめてみます。
私が思う認知症ケアのポイントは、この3つかな。

  1.  口から食べること、
  2.  トイレで排泄すること、
  3.  これまでどおりのお風呂に入ること、です。

これら食事、排泄、入浴は三大介護とも呼ばれています。
どれも一見当たり前のことに思えることかもしれません。
しかし認知症が進行すると3つとも困難になりがちです。

その結果、口から食べることを早々に諦め、
経管栄養や胃ろう栄養に置き換わることが多い。
「食べられる」のに「食べさせない」場合も多い。

また、オムツをつけて、介護の手間を省略している人が多い。
さらに施設では機械で特殊浴場に入れるか、プールのように
広い大浴場に入れるかのどちらかに分かれてしまいました。

しかし一番嬉しいのは、今まで入っていた
家庭用の普通のお風呂(個浴)じゃないかな。
一番入り易く、気持ちが落ち着くのが「個浴」では。

こうした普通の生活を保つケアを心がければ、
大声を出したり激しい妄想に襲われたりの
周辺症状は徐々に出にくくなるようです。

認知症は関係性の障害とも言われています。
関わり方で、その方の機嫌が良くも悪くもなる。
日々を過ごす場と雰囲気で別人のように変わるのです。

すなわち、介護する側の心がけひとつで、その方の
全身状態、そして運命が大きく変わってくるのです。
そんなの当たり前、と言われる人もいるのでしょうか。

実は10年前は、そんな基本的なことさえ知りませんでした。
西宮市のNPO「つどい場さくらちゃん」が教えてくれました。
そこに集う介護者たちと話すうち自然と学ばせて頂きました。

「つどい場さくらちゃん」が主催して認知症の人とその介護者、
約30人が、毎年恒例の2泊3日の北海道旅行に行かれます。
家族とボランテイアが同伴します。

この話は以前も書きましたが、
私が診ている認知症で寝たきりの98歳の女性も
娘さんと北海道旅行を満喫して無事、帰ってこられました。

認知症があっても、寝たきりでも車椅子に乗れさえすれば、
飛行機を使って北海道旅行でもその気になれば楽しめます。
ビールやワインを飲んで、酔っぱらっても全然、構わない。

普通の人と同じようにあるがままに生活することが大切。
当たり前のことが一番難しいのが認知症です。
お薬より、関わり方のほうが大切であると思います。