《1231》 虫が見える第二の認知症 [未分類]

アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症が、
全体の2割を占めるのが「レビー小体型認知症」
第二の認知症とも言われ、60万人と言われています。

しかし市民はもちろん、医療職や介護職にも
この病気を知らない人が多いのが現状です。

今から100年前の1912年、ドイツの
ミュンヘン大学にいたレビー先生が脳を
顕微鏡で調べて、レビー小体を指摘。

ちなみに同じ研究室に1906年に
アルツハイマー病を発見した
アルツハイマー先生もいらしたそうです。

日本では1976年に精神科医の小坂憲司先生が
レビー小体型認知症を世界で最初に報告しました。

レビー小体型認知症とは、幻視、パーキンソン症状、
認知の変動が特徴です。

特に幻視が有名で、「ごはんの上を虫が動き回っている」
「ヘビが天井を這っている」「テーブルの下で子供達が遊んでいる」
など、実際には見えないものがありありと見えます

「虫」や「子供、男の子」や「水」などが見えるのです。
結構ありありと数分から数十分にかけて見えるそうです。
家族はビックリします。

「替え玉妄想」とは、相手の姿や顔かたちは確認できるものの、
中身が他の人と入れ替わっているという思い込みも見られます。
「あなたは妻にとても似ているが妻じゃない」というよな言動。

またパーキンソン病と同様に、筋固縮や小刻み歩行などの
運動障害もみられます。
すくみ足、姿勢障害もみられ、転倒のリスクも高くなります。

レビー小体型認知症は、病理学的にはパーキンソン病
とたいへん似ています。
両者は幻視から始まるか、歩行障害から始まるのかの違いだけ。

レビー小体型認知症は、物忘れが目立たず幻視が前面に出る
タイプの認知症とも言えます。
第二の認知症とも言われています。

大切な人が「幻視」を訴えた場合、家族は大きなショックを受けます。
夫に「おまえは誰だ?」と言われたらどんな気持ちになるでしょうか。

お医者さんに行っても、残念ながらこの病気はまだあまり
知られておらず、まして介護職もあまり知りません。

100年以上の歴史があり60万人もの患者さんがいる病気
の割には世間ではまだまだ知られていないのが実情です。
そのため診断がつくまでかなりの時間がかかる場合があります。

レビー小体型認知症の治療法はまだ確定していません。
幻視の世界に共感し、近づき、認め、患者さんを孤立させない
ケアが大切と言われています。

小阪先生が主宰する「レビー小体型認知症の家族を支える会」
存在も是非知っておいてください。
患者間のネットワークで、癒される家族も沢山おられます。

幻覚に対して精神科から統合失調症の薬が、パーキンソン症状に
対しては神経内科からはパーキンソン病のお薬が、抑うつ傾向に
対しては、心療内科から効うつ剤を処方されている患者さんがいます。

共感を重視したケアと適切な医療で、
病状の進行を遅らせることができます。