《1233》 いつも美味しいお茶を出してくれる90代の女性 [未分類]

私が夜に訪問して診ている認知症の方の中に、
どう見ても認知症とは思えない人がおられます。

家族はいるのですが、私が訪問する時はいつも一人。
90歳をとっくに過ぎた彼女は、若い声と素敵な笑顔で
私を出迎え、丁寧に美味しいお茶を入れてくれます。

彼女と楽しく世間話をしていると、まったく普通で
その人がとても認知症とは信じられません。
実に感情が豊かです。

しかし彼女は毎回、その日の昼間にデイサービスに
行っていたこと自体をすっかり忘れています。
毎回聞きますが、ずっと家に居た、と言い張ります。

記憶障害以外は全て正常なのに、
数時間前の記憶だけが全く失われているのです。
ああ、これが認知症という病気なんだ。

でも足りない部分をカバーすれば普通に生きられます。
ただ誰がどうやってカバーするのか。
しかし介護保険のサービスがカバーしてくれています。

認知症の人は、記憶障害を感性でカバーしています。
感性が普通の人より敏感なことも。
また感性には感性で対応するのが賢明に思えます。

薬剤で感性を変えることはできません。
その方は中核症状のお薬だけ飲んでいます。
正しい認知症ケアがあれば周辺症状は出にくくなります。

認知症は関係性の障害とも言われています。
いろいろ学ぶうち、そのとおりだなと思う事が増えました。
関わり方が悪いと暴言、暴力、被害妄想等の周辺症状が出ます。