《0124》 意外と難しい「心筋梗塞の診断」 [未分類]

大動脈瘤に続いて、高血圧の怖さを代表する病気について書きます。
動脈硬化を代表する病気、「心筋梗塞」です。

狭心症という前兆がある場合と、全くない場合があります。
「心筋梗塞の1/3は病院に到着する前に死亡し、1/3は病院内で死亡し、
1/3は生きて病院から出られる。
怖い病気だ」と、患者さんには説明します。
狭心症の胸痛は、15分~20分まで。

30分を超えたら心筋梗塞です。
ところが、「胸が痛い」と言わない患者さんがおられます。

心臓の底は横隔膜と接していて、胃袋とはお隣さんです。
大病院で「お腹が痛い」と訴えれば、消化器内科に回されます。
後で心筋梗塞と判明したのですが、ご丁寧にも、その場で、胃透視や
胃カメラを受けた患者さんもいた、と聞き及びます。

何日も経ってから、血液検査で「急性心筋梗塞」と判明することも。
その時点で生きているなら、とりあえず勝手に助かっているのですが……。
こんな重大な病気でも、意外に見逃されているのでは?と想像します。

ですから「お腹が急に痛い」と聞いても、心電図を取ることがあるのです。
白血球やCPKなどの古典的マーカーが上昇しますが、待ってはおれません。
心電図所見が怪しければ、その場で心筋トロポニンTの迅速測定をすることも。

もしはっきり分からなくても、一刻も早く専門病院に救急搬送することがあります。
専門家でもはっきりしない「心筋梗塞の起こりかけ」という局面も少なくありません。
「ハズレだったらごめんね」と、患者さんに言い訳しながら、病院に搬送します。
緊急心臓カテーテル検査で、すべてが判明、解決します。

命に直接関わる病気、心筋梗塞の原因としての高血圧をもっと認識すべきです。
もし不幸にして、心筋梗塞が起こってしまったら?
そこから、再梗塞予防のためにさらに厳格な血圧コントロールが始まります。