《1253》 勤務医は慢性的な過重労働 [未分類]

多くの大病院では、勤務医の過重労働が慢性的にあります。
当直明けで手術に入ることは、ビール1本を飲んでから
飛行機を操縦するようなものです。

それは困りますね。
そう言われながらも、この問題は長く放置されてきました。
最近、勤務医の過重労働がクローズアップされています。

当直が時間外労働かどうかが、法廷で議論されてきました。
その結果はやはり、時間外労働、でした。
私が「パンドラの箱を開けよう」に書いたとおりでした。

しかし、多くの外科医は当直明けで家に帰れません。
看護師さんは家に帰って寝るのに、外科医は朝から手術に入り、
下手をすると、次の日も同じようなことを繰り返すことに。

家に帰ればいいじゃない。
無邪気に、そう言い放つひとがいます。
しかし、帰れば病院には誰もいなくなり機能が停止します。

急患が来ても対応できません。
すると「たらいまわし」と叩かれます。
どうにもこうにも身動きがとれないのが多くの病院の現状。

そうこうしているうちに勤務医は疲れ果てます。
そして、時には、集団で病院を去りました。
表面的にしか見ていない人は批難するでしょう。

しかし、医師も人間であります。
人権という言葉は医師にもあるはずです。
こうした過重労働を解決する手段はいくつかあります。

  •  ゲートキーパーの活用
  •  なんでも屋(総合医)の本格養成
  •  医師数の増員
  •  ……

労働基準法では1週間の労働時間は40時間になっています。
月の時間外労働が100時間を超えれば過重労働と言います。
会社であれば、必ず産業医の面談が必要と定められています。

多くの医師は、100時間を超えています。
しかしなかなか、改善できていません。
改善するには様々な工夫、転換が必要なのです。

ちなみに、私の場合は休憩時間はありません。
休憩していたとしても、電話が鳴れば、すぐに出動です。
実態は24時間勤務です。7日間×24時間拘束されています。

そうした態勢で20年間やってきました。
ちなみに私の時間外労働は、月400時間を超えます。
よくも死なないものだと自分でも思います。

もし死んでも過重労働や過労死という言葉は適用されない。
それは私が労働者ではなく、経営者であるからです。
経営者には、労働基準法は適用されません。

死んだらただの犬死にで、なんの保障もないのが開業医。
在宅医療に取り組む医師が増えない一因でもあります。
ただ最近は、何人かでグル―プを組み負担を軽減します。

勤務医の話から、在宅医の話に脱線しました。
医師の世界にも過重労働という概念が
ようやく適用されようとしている、という話をしました。