《1254》 専門医と総合医、どちらが偉い? [未分類]

あなたは、専門医と総合医とどちらが偉いと思う?
おそらく100人いれば100人とも専門医に軍配?
それほど、専門医崇拝が盛んな国です。

本屋に行けば、専門医の本がずらっと並びます。
この病気にはこの医者、あの病気にはあの医者とある。
しかしそこに辿りつくまでが本当は一番大変なのです。

たとえば、副腎腫瘍という病気があります。
腎臓の上にある副腎という臓器が腫れて、そこから
血圧を上げるホルモンが沢山出るという病気です。

はっきりとした高血圧を診た時に、お薬のことしか頭に浮かばない医師と
副腎腫瘍による2次性高血圧という病気を疑う医師がいます。
実は、後者が総合医なのです。

ありふれた病気をたくさん診るのですが、
その中から特殊な病気を拾い出せる能力のある医師が総合医。
ただ薬を出すだけの医者は、一般医と言えましょう。

そう考えれば、総合医になるのは結構たいへんです。
専門医は、それしか診ないのですから修業し易い。
どうですか、少し認識が変わりました?

お医者さんは総じて、専門医志向です。
それは患者さんが求めるからです。
需要と供給の関係が医療においても成立します。

専門医の方が偉いと思うなら、誰だって専門医を目指すでしょう。
総合医を目指す医者が増えないのは、実は患者がそう評価するから。
それを無視して、医者がけしからんというのは少し違う気がする。

自分のかかりつけ医は、できれば総合医であって欲しい。
多くの市民がそう望むのは、当然のことです。
であれば、総合医にもエールを送って欲しい。

人気番組のドクターGは、そのさきがけでしょう。
私自身もドクターNを目指して35年間修業中です。
学生時代から、明確に総合医を目指してきました。

総合医を言いだしたのは実は、あの日野原先生です。
そう、ドクターHを目指して、果てなき修業は続きます。
ドクターHは、先週末も仙台でお元気に講演なさっていました。